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COP30=アマゾン現場の声を日本へ=共感の輪を届けるクラファン

2025年11月6日

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国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)ジャパンは、ブラジル在住日本人スタッフ・武田エリアス真由子氏を中心に、11月にブラジル・ベレンで開幕するCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)を前に、日本とアマゾンをつなぐ新たなプロジェクトを始動した。本プロジェクトは「現地のリアルを届ける発信」と「アマゾンの危機に共感し、行動を広げるクラウドファンディング(ネット募金)」の二つを軸に、COP30の舞台・アマゾンから日本への連携を目指している。

武田氏は、2015年に初めてアマゾンを訪れて以来、その自然と人々に魅了され、約10年にわたり先住民や地域住民と協働して森林保全や地域開発に取り組んできた。現在はCIの一員として日本とアマゾンをつなぐ事業形成と発信を担う。

世界100カ国以上で活動するCIにとっても、自然大国ブラジルは最重点国の一つだ。州政府や研究機関、民間企業、ローカルNGOなどと協働し、森林再生や低炭素農業、気候ファイナンス、バイオエコノミー、先住民族との連携に取り組む。7月には200を超える団体や研究者と共にアマゾン保全に関する資金動員の提言書をまとめ、共同代表の一人としてCOP30事務局長に提出した。

COP30では、こうした活動を支える各分野の専門家がベレンに集結し、草の根から政策レベルまで幅広い議論に参加する。武田氏も現地参加予定で、「10年のアマゾンでの経験に加え、CIスタッフやパートナー団体、住民たちとともに、現場と科学を軸としたリアルな声を届けたい」と語る。

CIによると、ブラジル・アマゾンでは、すでに森林の17%が失われ、31%が劣化している。科学者たちは「さらに5%を失えば、二度と元に戻せないティッピングポイント(臨界点)を越える」と警鐘を鳴らしており、森が乾いた草原のように変化する〝サバンナ化〟の危機が迫っているという。

アマゾンは南米の雨の約半分を生み出している。この森が失われれば、世界の食料生産やブラジルの水力発電、大豆など主要産業への影響は避けられない。WWF報告によれば、日本で消費される鶏肉の生産に使われる大豆の約55%がブラジル産。「私たちの食卓もアマゾンの森とつながっています。原因にも、その結果としての気候変動の影響からも、私達は無関係ではいられません」と指摘する。その現実を前に「何かできることから」の思いを形にするためクラウドファンディングを開始した。

先住民族カヤポ族とともに森の再生や森林火災予防に取り組む挑戦で、カヤポの女性たちが丁寧に描き、編んだ手工芸など、森と文化の誇りを感じるリターンも用意されている。武田氏は、カヤポの人々から「亡くなった母に顔が似ている」と言われ、現地名を授かったという。

「自然との向き合い方や、古くからのコミュニティの考え方など、アマゾンと日本には共通点が多いと感じます。村を訪ねると、なぜか懐かしさを覚えるんです。このプロジェクトでは危機だけでなく、アマゾンが持つ豊かさや価値、国際社会と協力しながら森を守ってきたカヤポ民族の歴史や叡智も伝えていきたい」と語る。

現在、この取り組みには、写真家のヨシダナギ氏(『クレイジージャーニー』出演、カヤポ族を撮影)をはじめ、大前孝夫氏(日本ブラジル中央協会会長・元三井物産副社長)、関口ひとみ氏(元マナウス総領事)、舛方周一郎准教授(慶應義塾大学)、小長野道則氏(アグロフォレストリー第一人者、トメアス)らがメッセージを寄せている。クラウドファンディング詳細はこちら (https://for-good.net/project/1002554


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