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花嫁移民調査で自分も花嫁に=池内さやかさんがUSP修士修了

2025年11月26日

池内フーベンスさん、あいかちゃん、さやかさん
池内フーベンスさん、あいかちゃん、さやかさん

「花嫁移民の調査に来て、自分が花嫁になりました」と笑顔を浮かべるのは、池内中西さやかさん(38歳、神戸出身)だ。ブラジル海軍少佐の池内フーベンスさん(39歳、4世)と結婚し、3歳の娘を授かり、現在はミナス・ジェライス州ジョセ・ダ・バーラ市の基地に勤務する夫に帯同している。

池内さんは2015年に大阪市立大学在学時、花嫁移民の調査で1カ月ほど当地に滞在し、グアタパラやラモスなどで花嫁移民本人や夫の証言を調査して回った。その際、援護協会の園田昭憲副会長の仲介で夫と知り合い、1年余りメッセンジャーなどのSNSを通じて遠距離交際を重ね、2015年に結婚した。

さやかさんは「夫の最初の赴任地はベレン。あまりの湿度の高さにビックリ。スーパーに並んでいる魚を見ても、どうやって食べるのかピンと来なかった。海軍基地でポ語のみで、連邦大学でポ語を勉強しました」と振り返る。

その後、サンパウロ大学日本語学科修士課程に入学。本山省三教授の手ほどきで無事に合格通知を受け取ったところで、同教授が突然亡くなった。その後、モラレス松原礼子先生(USP)を指導教官にアリセ・タミエ・ジョコ先生(ブラジリア大学)を副指導教官にしてトメアスーの妻移民のオーラルヒストリー調査結果を論文にし、5年がかりで修士課程を修めた。

「移民史はたくさん書かれているが、女性の歴史は余り残っていない。妻移民は移民船で食器皿やミシンを抱えてやってきて、日本と同じ生活を再現すべく、最大限に工夫してやってきた。その結果、日本文化が家族の中に伝えられてきた。そんな重要な役割を果たしてきた女性たちの声を、今のうちに記録に残すことに意味があると思います。奥さんと言うだけでなく、自分のやりたいことが見つかって充実しています」と語った。

夫の池内少佐も日本語が達者。聞けば、訪日就労した両親に連れられ、5歳から10歳まで愛知県で育った。曽祖母は子供時代の1912年にカフェランジアに入植というから古い家系だ。

現在の赴任地はミナス州と聞き、「なぜ海軍が海のない州に」と思ったら、フルナス渓谷はリオのグアナバラ湾の数倍の面積があるとか。そこにあるカピトーリオ市の有名な観光地キャニオン・デ・フルナス渓谷で22年1月に、垂直にそそり立つ壁面の一部が突然、巨大な柱のように倒壊する事故が発生して話題になった。


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