またもサンパウロ市で長時間停電!=不安募るEnelの電力供給《記者コラム》
またしても大停電だ。2022年から毎年1度は24時間を超える停電をサンパウロ市で体験している。
個人的に最も酷かったのは23年11月3日から起こったもので、あのときは77時間もの間、自宅に電気が戻らなかった。地域によっては1週間近く電気が復旧しなかったところもある。リカルド・ヌーネス市長も電力会社Enelと衝突し、「契約を解消する」とかなりの剣幕で怒っていた。
それから2年経ったが、今でも市内やサンパウロ大都市圏では頻繁に停電の話題を耳にする。その度に「Enelの対応には改善が見られないな」と思っていた。
今回、10日午後に起こった停電は南部から北上したサイクロンの影響によるものだった。Enel側はサイクロンを「通常では対応が難しい気候的要因」として復旧遅れの理由として挙げた。
だが、停電というのは豪雨や突風などの気候的要因で起こるものであり、それに対応するのがプロフェッショナルではないのか。復旧に時間を要するのは理解できる。しかし、24時間を超える規模の停電がほぼ毎年起こるというのはいかがなものだろうか。
納得いかない点は他にもある。それはこの手の停電騒動が2020年以降に頻発するようになったことだ。
コラム子は2010年に日本からサンパウロ市に引っ越してきたが、最初の10年間でこのような被害にあったことはなかった。「停電は起こっても数時間」。そういう、いわば「あたりまえ」の環境の中で暮らしてきた実感があり、停電が市の問題などという認識さえなかった。Enelがサンパウロ市と電力供給の契約を結んだのは2018年10月からだ。
また、停電に地域差が感じられることも解せないことのひとつだ。コラム子が2023年に大停電を体験したとき、他の地域に住む同僚たちはいずれも数時間で済んでいた。今回もコラム子宅周辺は電気どころか、携帯電話のシグナルさえも拾えなくなった。その一方で同僚たちの住む地域の電気問題は既に解決していた。実際の話、Enelの停電のニュースに「サンパウロ市西部で」と報じられることは少なくない。
実はこれを書いている時点で、電気が消えてから36時間が経っているが、コラム子宅にはまだ電気が戻っていない。原稿は別の場所に移動して書いている。帰ったところで室内は真っ暗。停電の長期化で、お湯どころか水が出るのかさえわからない我が家に帰るのはかなり憂鬱だ。(陽)








