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「浜松は日本におけるブラジル」=在浜松ブラジル総領事ガルシア氏=5年間の軌跡と展望語る

2026年2月10日

在浜松総領事
在浜松ブラジル総領事のアルデモ・ガルシア氏

 在浜松ブラジル国総領事として5年間にわたり在日ブラジル人社会と向き合ってきたアルデモ・ガルシア氏(66歳)が1月27日に編集部を訪れ、2月末に任期を終えるのを前に、その活動と成果、今後の展望について語った。浜松市および静岡県一帯は、日本国内でも有数のブラジル人集住地域で、同氏はこの地を「日本におけるブラジルそのもの」と表現した。

 浜松市内には約1万人、周辺地域を含めると約3万人のブラジル人が暮らす。それまで東ティモールで大使を務め、技術協力を中心とした外交に携わってきた同氏。在留ブラジル人がわずか100人規模だった前任地とは対照的に、浜松市は「地域社会そのものが外交の現場」となる経験であったという。

 同氏が重視したのは、ブラジル人コミュニティの「可視化」と日本人地域社会との対話だ。その象徴的な取り組みの一つが、浜松城をブラジル国旗色にライトアップするイベントだ。着任後9月7日のブラジル独立記念日に合わせて実施されるようになったこの演出は、年を追うごとに規模を拡大し、市民参加型の音楽祭やフードトラックイベントへと発展。日本の全国ニュースでも取り上げられるなど反響を呼んだ。

 日伯文化の相互理解を象徴する試みとして浜松市内の公園に「イペーの森(Bosque dos Ipês)」の整備も行った。ブラジル日本文化福祉協会(文協)がブラジルで桜の森を整備していることに着想を得て、逆の発想でブラジルの国花イペーを植樹。静岡県浜松市の協力を得て、日本の気候に適応した苗木を用い、恒久的な交流の象徴を築いた。

 若い世代への取り組みも際立つ。ブラジル人学校を対象とした初のマンガ・コンテストを開催し、児童から成人まで3部門で作品を募集。600部の作品集を制作するなど、日本文化への関心を創造的な形で育んだ。さらに、在日ブラジル人最大規模のスポーツ大会「在日ブラジル人学校スポーツ大会」を創設・発展させ、1500人規模の選手が参加する国際的イベントへと成長させた。

 文化面では、ブラジル音楽イベント「Bossa Brasil」、アジア最大級の「Brazilian Day」、伝統行事である浜松凧揚げ祭りへの参加など、多様な交流事業を展開。コミュニティの象徴として、絶滅危惧種の青アララ(金剛インコ)をモチーフにした公式マスコット「ジュジュバ」も考案され、地域行事で親しまれている。

 ガルシア氏は今後について、3月に帰伯後、政治の場から在日ブラジル人および日系社会の課題に取り組む意向を示し、その方向で調整を進めているという。今年の選挙でPSD(民主社会党)からサンパウロ州議選に出馬する方向で交渉中で、在日コミュニティの高齢化、教育、ビザ制度、日伯経済関係、とりわけ牛肉輸出や観光促進などを重要課題に挙げ、「ブラジル人と日本社会をつなぐ声として、より積極的に発信していきたい」と語った。

 「この5年間で築いたものは、一過性のイベントではなく継続的な関係性だ」と締めくくり、浜松を拠点に広がった多層的な交流は、日伯関係の未来に向けた確かな礎となっている。


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