JICA=丸山隊員が和太鼓指導の成果報告=アマゾンの鼓動、流派超え共鳴
独立行政法人国際協力機構(JICA)の日系社会海外協力隊として、2025年4月から11カ月間にわたり派遣されていた丸山夕芽把(ゆめは)さん(2024年度9次隊)の最終活動報告会が3月19日、サンパウロのJICA事務所で開かれた。会場には派遣中のボランティアや職員のほか、ブラジル太鼓協会、在ブラジル在外公館、ブラジル日本語センターの関係者ら25人が対面およびオンラインで出席。マナウスの地で和太鼓を通じた人づくりに奔走した丸山さんの歩みに耳を傾けた。
丸山さんは、日本で和太鼓プロ集団「天邪鬼」に所属。その任務は、アマゾナス州マナウス市の西部アマゾン日伯協会に所属する和太鼓グループ「風河火山太鼓」の技術力向上と自主性育成だった。同グループは日系人が少数で、メンバーの大半が現地ブラジル人。過去に複数の流派の指導を受けた経緯から、演奏スタイルが混在し、組織としての方向性が定まらない課題を抱えていた。
丸山さんは指導にあたり、自身の「関東流」を一方的に押し付けなかった。既存の「九州流」を尊重しつつ、新たな楽曲や技法を融合させる柔軟なアプローチを採択。「単なる楽曲指導にとどまらず、グループが自らの軸を持てる土台づくりを意識した」と振り返る。文化やスタイルの違いを「対立」ではなく「表現の選択肢」として整理し直すことで、多様性を強みに変えていった。
活動は週4回の実技指導に加え、週1回の座学を導入。歴史背景や「口唱歌(くちしょうが)」の学習を通じて、精神性の深い理解を図った。また、盆踊りや「ジャングル祭」といった実戦の場を積極的に活用。厳しい練習を通じてチームの結束力と集中力を高めていった成果は、約250人を動員した発表会で結実した。当日の熱演がビデオで紹介されると、会場は温かな拍手に包まれた。
特筆すべきは、デジタルの知見を運営に組み込んだ点だ。パンフレットにQRコードを配し、来場者アンケートを収集。客観的なフィードバックを次回の活動に反映させる仕組みを構築した。これにより、メンバーは演奏技術のみならず、組織運営や発信力といった「自走」するためのスキルを身につけた。
JICAブラジル事務所の柏木正平次長は、「短期間で現地の状況を深く理解し、信頼を勝ち取った。多くの日本企業が進出するマナウスにおいて、日本文化が共感を持って発信された意義は極めて大きい」と、その功績を高く評価した。
一人の若き隊員がアマゾンの地で打ち鳴らした鼓動は、国境を越えた確かな文化交流のモデルケースとして、現地メンバーの心に深く刻まれている。









