《ブラジル》ルーラとボルソナロは大統領討論会には出ない?=ともに一次投票前は消極的=過去に不参加で当選の例も

大統領選世論調査で1位のルーラ元大統領と2位のボルソナロ大統領がともに、一次投票前のテレビでの候補者討論会に参加しないことをほのめかしている。5月31日、1日付現地紙、サイトが報じている。
ボルソナロ大統領は5月31日、ラジオ局「マッサFM」のインタビューに答え、テレビ討論会について、「一次投票前のものに関しては出るかどうか考えているところだ」と語った。大統領によるとその理由は、「他の多くの候補たちからのくだらない質問の集中砲火にあうからだ」と答えている。
ボルソナロ氏は2018年、一次投票前の討論会に2度だけ参加し、他候補からの質問 を受けて答えに窮する場面が見られた。
だがその直後の9月6日、ミナス・ジェライス州ジュイス・ダ・フォラで刺傷事件にあい入院。退院後もドクター・ストップを理由に、最後まで討論会に参加することはなかった。決選投票の前には対立候補のフェルナンド・ハダジ氏との討論会を断りながら、他局の独占インタビューに応えるなどして物議を醸していた。
このため、「今回も討論会には不参加なのでは」との見方もあったが、ボルソナロ氏はこのインタビューで「決選投票前のものに関しては参加するつもりだ」と答え、前回と違う対応を行うことを示唆した。
ボルソナロ氏はかねてから「討論に出ない方が有利」と指摘されていた。それはその方が、自身の主張する、必ずしも国民全体に人気があるとは言えない保守派が喜ぶ過激な政策を隠すことができたからだ。これは1989年に「救世主」のイメージで打って出たフェルナンド・コーロル氏がとって当選した戦略でもあった。
一方、ルーラ氏も討論会に関してはかねてから消極的な姿勢を見せている。今年1月にパラー州のラジオ局で行われたインタビューで、ルーラ氏は「出ても2、3局だ」と答えている。
ルーラ氏はその理由を、「ブラジルのテレビ討論会は主要な局全てで行われるが、全ての局が主催するものに出ていたらスタジオに缶詰になってしまう。討論会が大事なのは誰に入れるかがわかっていない視聴者に支持する候補を決めさせる機会だからだ」としている。
ルーラ氏がこのように答えている背景には自身の大統領選世論調査での支持率の高さがあり、あえてアピールする必要を感じていないようだ。
また、CNNブラジルがつかんでいる情報によると、ルーラ氏は「ボルソナロ氏が討論に参加しない場合は自分も出ない」と語っているという。
ルーラ氏は2期目の当選を狙った2006年の大統領選の際も一次投票前の討論会には出ていない。
こうしたことから、ボルソナロ氏とルーラ氏による討論会は決選投票前のみということになりそうだが、現在の世論調査ではルーラ氏が40%台後半の数字を出しており、一次投票で決着がつく可能性が指摘されている。