連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第3話
その間、三ヶ年と八ヶ月、私は学童前期を過ごしたことになる。その大戦の前半は日本軍の前進で景気良く国民に笑顔があった。特にシンガポールを陥落した時には日の丸を振ってお祝いをし、お土産に皆、ゴムの白いボールを貰った記憶がある。
私が学んだ所は富高国民学校で富島町の中心にあった。私達の畑浦から四㌔の距離にあって、毎日往復八㌔の道を通っていた。寒い冬の日も暑い夏の日も毎日毎日歩いた。寒い冬の日など、よく走って通ったものだった。それも競走で走った。私はいつも人には負けなかった。夏の日は靴などなく、裸足での登校であった。
そして大戦も半ばになると日本軍の旗色が悪くなり...
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