《ブラジル》ICMS上限法案を上院も修正込みで承認=最大で17%増までに=下院が再承認なら燃料代低下

燃料代や光熱費、公共交通費などのインフレ抑制のため、商品流通サービス税(ICMS)に上限を設ける法案が13日に上院で承認された。だが、下院が承認した案に修正が加えられたため、下院での再審議が必要となった。13、14日付現地紙、サイトが報じている。
PLP18/22と呼ばれる法案は、ボルソナロ大統領や連邦政府が選挙年のインフレ高進を避けるために提案したもの。同法案を提出した最大の要因は、国際原油価格と為替に合わせた変動制を採用するペトロブラスの燃料価格政策で、これが燃料代や交通費、光熱費が上がる理由となっていた。
ペトロブラスの価格政策は容易に変えられないため、連邦政府は州税のICMSの課税率に「17%まで」という上限を加えることで、消費者価格を抑えようとしている。州によって、燃料費にかかるICMS課税率が30%以上というところがあるからだ。
この法案は先月、下院で承認された。だが、ICMSが州財政の大半を占める州やICMSの25%を受け取る市は大きな損害を被るため、不満の声が出ていた。州財務局や経済省の一部は、PLP18の承認で州財政は830億レアルの損害を被ると主張していた。
だが、同法案は13日の上院の審議でも賛成65、反対12で、承認に必要な41票以上を獲得し、承認された。反対意見では「国民の中で餓えている貧困層が増えているのに、中流以上の人が使う高級車の燃料の値段を気にするのか」「教育や保健への投資が犠牲にされる」というものが目立った。
上院の修正案でも基本路線は変わらず、燃料、光熱費、通信費、公共交通料金へのICMSの課税率は17%までに抑えられることになった。
だが、上院ではいくつかの変更が加えられた。報告官のフェルナンド・ベゼーラ・コエーリョ上議(民主運動・MDB)が、連邦政府が6日に発表した、ディーゼル油と台所用のガスにかかるICMSを年内はゼロとする一方、ガソリンとエタノールにかかる経済支配介入納付金(Cide)と社会統合基金/公務員財政計画(PIS/Pasep)、社会保険融資納付金(Cofins)の税率をゼロにするという案を抱き合わせたためだ。上院ではアルコールへの連邦税ゼロ化も年内とした。下院が承認した時点では、この期間は2027年6月までだった。
また、エドゥアルド・ブラガ上議(MDB)による「州が税収減となった場合と基礎教育開発基金(Fundeb)が損なわれる場合は国に補償義務がある」との提案が45対26で承認された。FundebもICMSで賄われている。
下院が承認した法案では、22年の場合、21年の税収より5%以上減少しない限り、国からの州への補償は行われないことになっていた。また、国の州に対する補償の方法も修正が加えられた。
修正案は下院に差し戻されるが、承認されればディーゼル油は1リットルにつき0・76レアル、ガソリンは1・65レアルの値下げ効果があるという。