《ブラジル》温室効果ガス排出量=北部が全国の6割占める=上位8市はアマゾン内に=森林伐採や農業が主な要因

温室効果ガス排出と除去推定システム(SEEG)の最新データによると、人口の割合が少ない北部が排出量の約60%を占めており、上位10市中8市は法定アマゾン内にある事などがわかったと13、14日付現地紙、サイトが報じた。
2019年の温室効果ガス排出量最多はパラー州アルタミラで、二酸化炭素に換算した温室効果ガス排出量は3524万7300万トンだった。内3340万トンは森林伐採によるものだ。
同市の人口はサンパウロ市の100分の1の11・7万人だが、同市を国に例えると、温室効果ガス排出量は世界で108番目に多い。19年の森林伐採量は575平方キロで全国一。森林火災も全国2位の3800件だった。
排出量は電力や工業、農業、交通、土地や森の利用状態の変化、廃棄物の処理方法など、100項目以上を基に算出される。
2位はパラー州サンフェリックス・ド・シングーの2889万4968トン、3位はロンドニア州ポルト・ヴェーリョの2330万3221トン、4位はアマゾナス州ラブレアの2321万8078トンと続く。
10市中8市は、パラー州4、アマゾナス州2、ロンドニア州とマット・グロッソ州各1で、法定アマゾン内の市が占めた。
北部以外の市は、サンパウロ市が1658万9114トンで5位、リオ市が1379万6138トンで8位だった。上位10市の排出量1・97億トンはオランダやペルーの排出量以上だ。
木が切り倒されると二酸化炭素の吸収が止まる上、分解や焼き払う過程で二酸化炭素が出る。森林伐採では二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンガスや270倍の効果を持つ窒素酸化物も排出される。
また、1人あたり年500トンのガスを排出している市は、新生児も含む各人が500台の車を毎日走らせるか、1日1・5頭の牛を毎日食べている計算になるという。
ブラジルは環境関連の国際会議で森林伐採や温室効果ガス排出量の削減を約束している。だが、5月の法定アマゾンの森林伐採量は5月としては昨年5月の1390平方キロに次ぐワースト2の899・64平方キロ、森林火災は2287件で昨年同月比で96%増など、森林破壊やそれによる農地開発が続いている。
英国人ジャーナリストとブラジル人の先住民活動家の失踪事件は不法伐採や不法採掘、麻薬密売などが横行している場所である事やパラー州での犯罪多発などから、犯罪や温室効果ガスの排出量などを抑制する意味でも環境などの監視強化をと訴える声が高まっている。