《ブラジル》ペトロブラス総裁が突如の辞任発表=値上げ後の反発に抗えず=CPI設置の動きの中で

【既報関連】20日朝、ペトロブラス(PB)のジョゼ・マウロ・フェレイラ・コエーリョ総裁が辞任を発表した。17日の燃料代値上げへの反発は大きく、議会調査委員会(CPI)設置の動きが強まるなど、厳しい状況にあった。20日付現地紙、サイトが報じている。
今回の値上げはガソリンの製油所出口価格で5・18%、ディーゼル油も14・26%と大幅で、強い反発を招いた。ボルソナロ大統領は値上げ発表後、「月曜(20日)にもCPI開設を求める」と発言。その後、PBの株価は急落し、273億レアルを失った。大統領は「月曜にはCPI余波でさらに300億レアルは下がる」と脅すように語った。
野党も政府以前にCPIを開設しようと画策。ジャン・ポール・プラテス上議(労働者党・PT)が「巨額の富を得ている株主を調べる必要がある」とし、ランドルフ・ロドリゲス上議(レデ)も「自分が最初に提出する」と語っている。
CPI開設はリラ下院議長も擁護し、「PBは法的に無効な総裁に乗っ取られた」「PBはだだっ子集団だ」「今こそPBの化けの皮を剥いでやる」との過激発言でPBへの憤りを表明した。
最高裁のアンドレ・メンドンサ判事も17日、PBに「過去60カ月間の燃料代値上げに関する根拠の説明」を求めた。同判事は大統領の指名で最高裁判事に選ばれた人物だ。
リラ議長は20日に政党リーダーを集め、PBの価格政策などについて審議し、同社に圧力をかける予定だったが、その矢先にジョゼ・マウロ氏が辞任を発表。同氏のPB総裁就任は4月で、在籍68日は民政復帰後の同総裁職の最短記録だ。
大統領は3月の燃料代値上げ後にジョアキム・シウヴァ・エスタ総裁を更迭した際、ベント・アルブケルケ鉱山動力相(当時)の進言でジョゼ・マウロ氏を指名した。だが、同氏はPBの価格政策賛成派で、5月にアルブケルケ鉱山動力相が辞任した時から総裁の座が危ぶまれていた。
政府は先日、次期総裁や経営審議会の候補者リストを提出済みだが、当面は生産部担当理事のフェルナンド・ボルジェス氏が総裁を代行する。20日の株式市場は大混乱し、PB株は一時取引停止となったが、その後は価格が回復し始めた。