《ブラジル》大統領選支持率調査=ルーラが1次投票で圧勝か=醜聞続きでも大統領は維持=バラマキ政策で巻き返しへ

23日、大統領選を約100日後に控えた大統領選支持率調査で、ボルソナロ大統領(自由党・PL)はルーラ元大統領に19%ポイント差で2位だった。「6月までに逆転」のシナリオは崩れたが、スキャンダルが続く中でも支持率は下がっておらず、福祉対策などのバラマキ政策で巻き返しを狙っている。23、24日付現地紙、サイトが報じている。
22〜23日に181市2556人を対象に行ったダッタフォーリャのアンケートによると、1位は5月の調査に引き続いてルーラ氏(労働者党・PT)の47%で、ボルソナロ大統領は28%で2位だった。
3位以下はシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)が8%、アンドレ・ジャノーネス氏(アヴァンテ)が2%、シモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)、パブロ・マルサル氏(社会秩序共和党・PROS)、ヴェラ・ルシア氏(社会労働者統一党・PSTU)がそれぞれ1%台で続いている。
テベテ氏は、MDBと民主社会党(PSDB)が統一候補としての発表を行ったばかりだったが、支持率には結びつかず、これらの老舗政党がもくろんだ「第3の候補」になれずにいる。
また、5月に引き続き、ルーラ氏は他の候補の支持率を全て合計したものを上回り、有効票の53%を占めている。現状通りなら一次投票で勝つ見込みだ。決選投票のシミュレーションも、ルーラ氏が57%対34%でボルソナロ氏に勝つとの結果になっている。
今回の結果もボルソナロ陣営には厳しいものとなった。所属政党のPLや支持基盤の中道勢力・セントロンのアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は、「6月までに世論調査での逆転を」と睨んでいた。ところが、現時点でのルーラ氏との差は19%ポイント差で、5月の21%P差よりは縮まったが、誤差の範囲内の微減にすぎない。この状況は他の世論調査でも大きくは変わらず、ルーラ氏が一次投票で勝つか、そこまでもう一歩との結果が出ている。
しかも、ボルソナロ氏の場合、回答者の53%が「同氏には何があっても投票しない」と答えており、現状の政権不支持率も46%と高いなど、かねてからの票の伸びにくさが改善されていない。
だが一方では、今回の結果をボルソナロ氏にとって「良かった」とする向きもある。それは、6月に行われた燃料代のさらなる調整や、国際問題ともなった法定アマゾンでの英国人ジャーナリストと先住民活動家の殺人事件、アンケート集計時にはミウトン・リベイロ前教育相逮捕とスキャンダル続きだったのに、支持率が落ちなかったためだ。
そこで連邦政府関係者は、福祉政策を充実させることでボルソナロ氏の好感度上昇を狙っている。具体的には、現在、最低月額400レアルのアウシリオ・ブラジルを600レアルにしようとしている。福祉政策「アウシリオ・ブラジル」の受給者は、ボルソナロ大統領より、その前身の「ボルサ・ファミリア」を作ったルーラ氏の方に高い好感度を抱いている。
連邦政府が計画中のガス代補助やトラック運転手への支援金支給などの対策も、ボルソナロ氏の追い上げのカギを握りそうだ。