《ブラジル》肥料の値上がり傾向続く=作物価格の上昇を上回り
ブラジルでは昨年から始まっていた肥料価格高騰は、ウクライナ危機で拍車がかかり、国際問題ともなったが、農産物価格はそれについて行かず、農家が困窮していると11日付現地サイトが報じた。
ブラジルの農産物輸出を牽引する大豆の場合、国内最大の生産州であるマット・グロッソ州での肥料価格は、昨年10月から今年6月までで16%値上がりし、1トンあたり4173レアルが4837レアルになった。だが、同期間中の大豆価格は、1俵60キロが158・70レアルから169・90レアルにと7%増のみだ。
農家が負担する経費には輸送費もあるが、大豆用の肥料をパラナ州パラナグア港からマット・グロッソ州まで運ぶ経費は、他の地域に輸送する場合より高くつく。
一方、パラナ州でのトウモロコシ栽培農家の現状は、マット・グロッソ州の大豆栽培農家より厳しい。パラナ州の場合は州内の港からの輸送だから肥料の輸送費は他の地域より安いが、肥料価格は3987レアルが5311レアルにと33%値上がりしたのに、トウモロコシの価格は83・50レアルが76・0レアルにと9%下がっている。
肥料に関する費用としては港での積み下ろしの経費も忘れてはならない。
パラナグア港の場合、トンあたりの荷降ろし経費は昨年1月の25レアルが6月には50レアルになった。ピーク時の1月は77レアルで、5月には少し下がったが、再び上昇傾向にあるという。積み下ろし経費は輸送経費の約10%を占めるという。積み下ろし経費は肥料の種類によっても異なり、尿素ではトン650レアルに及ぶという。
輸送費には港での保管経費も加わる上、積み下ろしまでの停泊期間が延びれば経費もそれだけ増す事になる。だが、パラナグア港での肥料の積み下ろしまでの期間は、税関職員のストなどが影響し、現在は40~45日に延びているという。昨年の3~4月は11日程度だったから、4倍に延びている事になる。