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エスペランサ婦人会が年内解散=「残念ですが仕方ありません」=高齢化にパンデミックが追い打ち

2022年7月26日

7月の説明会に集まった皆さん(前列中央が倉持会長)
7月の説明会に集まった皆さん(前列中央が倉持会長)

 「パンデミックの間、子どもが外に出してくれなくなり、会員が集まらなくなりました。本当に残念ですが、仕方がありません」。サンパウロ市にあるブラジル日本文化福祉協会(文協)ビル5階のエスペランサ婦人会サロンで19日午後、同会員向けに活動停止及び解散説明会開かれた。同婦人会は今年8月に創立73周年を迎える伝統ある団体。説明会の前に記者会見した倉持恵美子会長(84、2世)は記者にそう肩を落としながら語った。

 同会会計を33年間にわたり任されてきた山口ジューリア弘子さん(78、2世)は「30年前には300人もいた会員が、今では50~60人です。色々楽しいことが一杯あった。これからは寂しくなります」と振り返った。
 30年ほど参加する古賀弘子さん(80、2世)も「昔はカラオケでも合唱でもすぐに100人以上集まって、ワイワイと賑やかだった」と往時を懐かしむ。
 副会長の佐藤一子さん(かずこ、87、東京都出身)も「みんな年寄りになって、ちゃんと活動できなくなった。新しい人は入ってこない。婦人会というより老人会のようになってしまった」と悲しそうに語った。
 同婦人会は、第2次大戦で荒廃した祖国へ救援物資を送る「ララ物資」活動を発端として、1949年8月17日に村上真一郎宅を本部にして団体登録した。文協ビルの基礎部分ができたときに3階に賃貸で入居し、1977年に上階が建設された際、会員の努力の積み重ねで現在の5階に不動産を購入した。
 パンデミック前までは生け花、ピアノ、日本舞踊、フォークダンス、日本語、ポ語など各種講座が盛んに行われていた。全盛期には料理教室、俳句や短歌、手芸など主婦の教養となる様々な講座が忙しく開催されていた。腕によりをかけて作られた母の味料理も並ぶバザーが5月に、有名歌手などを呼んで盛大に行われるお茶会が11月に行われていた。
 3年前の8月に開催された創立70周年式典には140人が集まって、節目を祝ったばかり。その直後にパンデミックが襲った。第13代会長となる倉持さんは「会員の大半が80歳以上なので、家から出られなくなり、今年1月に活動再開して会合を始めたのですが、あまり集まらなくなり、『そろそろ潮時かも』という話になり、何回か相談した結果、結局辞めることにしました」と苦渋の決断を振り返った。
 今年中に臨時総会を開いて正式に閉会する予定。文協5階サロンとサンパウロ市パンジア・カロジェラス街にある不動産はサンパウロ日伯援護協会に寄付し、同サロンにある備品類および会計の残金は日系福祉団体に寄付する。


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