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コロナ禍乗り越え、活動再開=生演奏が魅力のサウーデ楽団

2022年7月26日

生演奏で歌える「サウーデ楽団」
生演奏で歌える「サウーデ楽団」

 約50年の歴史を持つ「サウーデ楽団」がコロナ禍を乗り越え、今年5月頃から活動を再開した。同楽団は、まだ日系社会にカラオケが無かった1974年に創立。当時は、1世の楽団員や歌い手も数多く、楽団活動を「唯一の楽しみ」とする人々によって多くの楽団が結成されていた。しかし、カラオケの台頭や団員の高齢化などにより、参加人数も減少。団員の顔ぶれも時代の波とともに入れ替わっていった。
 サウーデ楽団はコロナ禍で約2年間活動を中断していたが、現在は毎月第2、第4日曜日の午後3時から同9時頃まで、サンパウロ市ビラ・マリアーナ区の大阪なにわ会館2階(Rua Domingos de Morais, 1581)で活動を行っている。
 同楽団による生演奏で演歌や歌謡曲を歌うのは日本人1世や日系2世の年配が中心だが、「歌い手のリズムに伴奏を合わせてくれたり、カラオケとはまた違った魅力がある」と、知る人ぞ知る人気のスポットとなっている。取材した7月10日は、約10人の歌い手が交代で生演奏での歌唱を楽しんでいた。
 代表格の栗本紀子(のりこ)さん(76歳、愛知県出身)によると、以前は同楽団主催の大会もあり、現在は90歳代の鎌田恵美子さんなど同楽団出身の歌手も日系社会で活動していたという。
 楽団は、ギター、ベース、ドラム、キーボード(ピアノ)、サクソフォーンで構成。楽譜を見ながらの本格的なバンドとして、歌い手のリズムに合わせて演奏してくれるのが特徴だ。
 同楽団で演奏して10年以上になるというベース担当の宮川信之さん(58歳、神奈川県出身)は、「日本でも10数年やっていましたが、ブラジルに来て初めて演奏したのがサウーデ楽団でした。歌い手に合わせて伴奏したり、互いにうまく調整できた時は嬉しいですね。生演奏はカラオケではできない人間的な魅力があります」と充実した表情を見せる。
 サクソフォーン担当のサン・ジュン・ユンさん(77歳)は韓国人だが、日本の長野県に長年住んだ経験があり、プロの演奏家として活動していたという。ブラジルではNAK(ブラジル日本アマチュア歌謡連盟)でも約20年、バンド活動を行ってきた実力者だ。
 同楽団の生演奏で歌って10年ほどになるという津田節代(せつよ)さん(大阪府出身)は、91歳となった現在も矍鑠(かくしゃく)としている。カラオケ歴は約30年で、「歌が好きで好きでたまらない」そうだ。この日は同会館地階で「グループ・フレンズ」(蛯原忠男代表)によるカラオケ大会も開催。津田さんは同大会に出場した後に2階に上がり、サウーデ楽団の生演奏でも歌うなど元気な姿を見せていた。
 非日系参加者のマリオ・オリベイラ・レイスさん(77歳)はフランク永井の『君恋し』を日本語で熱唱。話を聞くと、ブラジル内で40年にわたってボンゴを中心とした打楽器奏者として活動してきたと説明してくれた。
 サンパウロ市サウーデ区に住む喜納(きな)光枝さん(77歳、沖縄県出身)はカラオケ歴30年、サウーデ楽団歴20年のベテラン歌手。「家が近いので、毎週水曜日には(大阪なにわ会館の)カラオケに来て、月2回はサウーデ楽団の生演奏に来るなど、楽しんでいます」と話した。
 代表格の栗本さんは、「生演奏で歌うのは脳の活性化にもなります。楽団の演奏で歌の練習をしたい方はどしどし、参加していただきたい」と来場を呼び掛けた。
 参加費は、1人1回ずつで30レアル。


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