新型コロナ=ブラジルでもXBB.1.5株確認=毎年接種の方針発表直後に

ブラジルでの新型コロナの感染第5波は峠を超えた感が出て来た一方、米国など29カ国で感染拡大を招き、他の変異株よりも感染力が強いとされるオミクロン株の下部変異株のXBB.1.5株(通称クラケン)がブラジルでも見つかったと5、6日付現地サイトが報じた。
XBB.1.5株への感染が確認されたのはサンパウロ州内陸部インダイアツーバ在住で54歳の女性で、11月に採取したサンプルを解析した結果が同株への感染が判明し、5日に州保健局に報告された。
インダイアツーバ市役所によると、女性は10月に米国に旅行しており、輸入型感染と見られている。症状は軽く、入院は不要だったし、濃厚接触者(夫と息子2人)も発症していない。
この女性は現時点では唯一のXBB.1.5株感染者だ。同株は他の株よりも感染力が強いとされているが、患者は新型コロナの予防接種を全て受けており、軽症で済んだ。なお、世界各国で予防接種が進んでいる事もあり、同株の致死率は低いようだ。
ブラジルでの新型コロナの予防接種はワクチン不足による接種中断などの問題が繰り返されており、6日には子供用のワクチンが底をついたとの報告も出た。保健省のエテル・マシエル保健環境監視局長は報告後、購入契約済みのワクチンを前倒しで納入するようにファイザー社と交渉。ブタンタン研究所が保有するコロナバック買い取りの意向も示した。
なお、マシエル氏は4日、新変異株の発生や感染再燃を防ぐには一定水準以上の予防接種率を維持する事が必要とし、新型コロナの予防接種も国の予防接種計画に盛り込む意向を表明した。新型コロナの予防接種の対象はインフルエンザ同様、高齢者や医療従事者、生後6カ月~5歳の子供などとなる予定だ。
ブラジルでの新型コロナの新規感染者は12月11~17日の32万1349人以降、23万2227人、20万6944人、15万7105人と週単位で減少中だ。一方、同期間中の死者は1116人、880人、1110人、953人で、明確な減少傾向は見られていない。