連邦政府=マイス・メジコスを再開=ブラジル人優先で1・5万人採用

連邦政府が20日、医師が少なく、医療体制が脆弱な地域に医師を派遣するための「マイス・メジコス」を再開すると発表したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)、G1サイト(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)などが報じた。
ジウマ政権で導入されたマイス・メジコスは、国内で資格を取った医師が行きたがらない遠隔地や治安に不安がある都市周辺部にも医師を派遣して好評を得たが、医療体制が脆弱な地域に外国人医師が派遣されたりして、賛否両論が出ていた。
ルーラ大統領は「医師ではなく、患者の国籍が重要」と演説。外国籍医師が多すぎて批判を受けた以前の同政策を反省し、国内で免許をとったブラジル人医師を最優先し、次に外国で免許をとったブラジル人医師、最後に外国籍医師という方針を打ち出した。
内陸部や川沿い地域、先住民居住地などでの医師不足は現在も深刻で、プログラム拡張が打ち出されることになった。20日は3月中に5千人、その後も1万人の計1万5千人を年内に採用・派遣する意向も示された。また、歯科医や看護師、社会福祉士なども採用する予定だ。
ニジア・テイシェイラ保健相は「マイス・メジコスは地域中枢から離れ、医師や医療機関へのアクセスが困難な町の市民も医師の対応を受けられるようにするという難問に応えるために戻って来た」「初期対応がなければ問題解決は不可能で、高・中度の複雑なケアに必要な政策の推進もできない」と強調。マイス・メジコスは統一医療保健システム(SUS)やブラジル人社会の本質的なプログラムを強化するとし、医療体制が脆弱な地域への医師派遣で、乳児死亡率などが低下したという明確な証拠も示した。
プログラムが本格化すれば、現在活動中の医師1万3千人に1万5千人が加わり、過去最多となる。医師への手当は約1万2千レアルで住居手当もつく。契約は4年間で、定着が難しい地域に派遣された医師や学生融資基金(Fies)の融資を受けて学んだ医師には特別な補償もつく。
医師の派遣は応募する医師と医師を必要としている市民、医師招聘を望む自治体の3者合意で実現する。ルーラ氏は当面はブラジル人医師を優先する意向だが、外国人医師派遣の可能性は残っている。20日付GZHサイト(10)によると、外国で医師免許を得た人が国内で働くための試験合格は義務と明記されておらず、一部の地域医師会から批判や苦情も出ているようだ。