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開設陳情の趣旨を説明=沖縄県南米連絡事務所

2023年3月23日

 2月26日に開かれたブラジル沖縄県人会(高良律正会長)の第86回定期総会の席上で、ブラジル内での「沖縄県南米連絡事務所」開設に関する陳情の趣旨が説明された。同開設案は20年以上前からの懸案事項で、沖縄県と南米ウチナーンチュのさらなる連携強化が目的だ。互いの情報交換を通じて、芸能文化の交流に留まらず、農業・産業面での技術移転や販路拡大も期待されている。
 趣旨説明を行ったサント・アンドレ支部の宮城あきら氏によると、「沖縄県南米連絡事務所」開設案は2001年の第64回定期総会で満場一致で決議され、当時の稲嶺恵一知事に要請案を直接手渡したという。しかし、その頃の沖縄県は東南アジアを重視し、同案は実現しなかった。また、19年の第85回定期総会でも改めて開設要請を決議したが、コロナ禍により陳情する機会を逸した経緯がある。
 そうした中、昨年10月、11月開催の第7回世界のウチナーンチュ大会にブラジル沖縄県人会の高良会長らが出席。玉城デニー知事と赤嶺昇県議会議長を表敬訪問して、連絡事務所開設案の陳情書を手渡したところ、赤嶺県議会議長が興味を示したという。
 陳情書では、世界各国に約40万人のウチナーンチュが在住する中、ブラジルをはじめ、ペルー、ボリビア、アルゼンチンを含めた南米には約30万人と全体の75%を占めるウチナーンチュが活動していることに触れられている。しかし、郷土・沖縄と南米ウチナーンチュの関係において、互いの情報が決定的に不足しているという。
 また、陳情書には「沖縄県南米連絡事務所開設の必要性とその行政的課題」として、次の10項目が記されている。
(1)沖縄県の様々な情報を南米のウチナーンチュに迅速かつ的確に伝え、南米ウチナーンチュの動態及び芸能文化活動の近況のみならず、農業や産業に関する市場調査等の経済情報を沖縄に伝え、相互に交流・共有すること。
(2)南米ウチナーンチュが沖縄経済の自立的発展に寄与できることとして、例えば、熱帯果樹の加工品や薬草などの南米特産品を供与すること。
(3)日本の先端技術を活用した牡蠣(かき)、海苔(のり)等の海洋生産物を、南米で安価に供与できる水産加工産業を開発すること。
(4)沖縄県の土木・上下水道技術の導入により、前近代的なブラジルをはじめとする南米の公共施設改革に貢献すること。
(5)泡盛など沖縄の特産品について、ブラジルでの高い輸入関税や運送費の難題を研究し、安価での販路を切り開くこと。また、技術移転による南米での酒造・生産を考案すること。
(6)気候変動による自然災害で世界の食糧生産が危機に直面する中、南米の広大な大地を利用して、例えば沖縄の黒糖や牧畜など農業生産分野への進出をはかること。
(7)(1)~(6)の事業を展開するに際して、日本からの駐在員制度ではなく、南米の優れた人材を登用すること。株式会社方式を採用し、基本的に現地の資金運用で資本金を構成すること。沖縄・日本の優れた産業技術を移転し、南米ウチナーンチュの産業技術の高度化と定着を目指すこと。
(8)過去7回にわたる「世界のウチナーンチュ大会」開催を通じて高まっている文化的・人的交流により、各地での沖縄芸能文化をいかに普及・定着させるかを考慮すること。
(9)医学、法学、教育、経済、芸能文化、移民史研究など各学問分野を研究する「世界のウチナーンチュ学会」を創設すること。
(10)沖縄県南米連絡事務所開設のための行政的措置の必要性。
 宮城氏は、今年中に沖縄県からの南米視察団が来伯する予定であることにも触れた上で、「20年来の努力がようやく結実する絶好の機会として、全力を挙げて取り組んでいかなければならない」と、沖縄県南米連絡事務所開設の必要性を強調している。


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