新高校課程、差し止め期間は2カ月に=「廃止ではない」と教育相=州教育局の反発に対応

【既報関連】ここ数日間、懸案とされてきた新高校課程の導入差し止めは、カミロ・サンタナ教育相とルーラ大統領(共に労働者党・PT)の会合の結果、60日間の差し止めとなった。カミロ教育相は4日、「差し止めではあるが、廃止ではない」との意向を明らかにしている。5日付UOLサイト(1)(2)(3)などが報じている。
差し止め期間は当初、「90日間で必要があればもう30日間」と報じられていたが、4日朝、カミロ教育相とルーラ大統領が行った会合で60日間となった。そのことは5日付連邦政府官報に掲載された省令でも明らかにされた。
4日、カミロ教育相は差し止めの理由と目的を発表した。同相によると、差し止めは学校側の不備が相次いでいるためだという。
カミロ教育相は「改革に対して、教育現場の対応ができていないと判断した。学校側への指導や教員育成、新課程導入に必要な学校のインフラ作りもまるで行われていない。これでは意味がない。そのことは私がまだセアラー州知事だった時から感じていた」とし、新課程の導入がうまくいっていないのは今日始まったことではないことを強調している。
「高校の授業全体の6割を基礎的な内容に当て、残り4割を五つのカテゴリーから選択させる」という教育方針はテメル政権下の2017年に連邦議会で可決、承認後、5年の準備期間を経て、2022年に導入された。
だが、カミロ教育相が指摘するような事態に生徒や現場が強い不満を表明。抗議行動も頻発していた。
だが、カミロ教育相は差し止められたのは高校課程の改革に関して発行された省令であり、2年生は既に新課程に沿った授業を受けているとした上で、今回の措置は「新課程の廃止ではなく、質を高めて実施するために必要な期間」で、導入を拒否しているわけではないと説明している。
その背景には、今回の差し止め後、州教育局などからの苦情が相次いだことがある。特に、全国州教育局長審議会(Consed)は今回の差し止めにより、2024年に行われるはずの国家高等教育試験(ENEM)の改革が流れることに関して、「この数年間、ENEMを含む改革にむけて活動してきたのに」と、これまでの努力を帳消しにしかねないことへの懸念や不満を表明している。
カミロ教育相は新課程の導入そのものは否定していないが、「ボルソナロ政権時代は連邦政府がどのような形で教育改革を行う意向かが現場にうまく伝えられていなかった」とし、対話を継続する意向を強調している。
ジェツリオ・ヴァルガス財団教育部門(FGV/DGPE)のアレッシャンドレ・シュネイデル研究員は、公聴会開催までの差し止めは正しい判断だが遅過ぎたとすると共に、「今後は教育省が生徒も含めた関係者を集め、新課程をどのように進めていくかに関する議論を牽引していく必要がある」と語っている。