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ポスト・ボルソナロの本命、タルシジオの課題

2023年4月28日

タルシジオサンパウロ州知事(Governo do Estado de São Paulo)
タルシジオサンパウロ州知事(Governo do Estado de São Paulo)

 調査団体クエスト社が先週行った「もしボルソナロ氏が2026年大統領選の出馬を禁止された場合、誰を支持したいか」の調査でタルシジオ・デ・フレイタスサンパウロ州知事が1位となった。支持率は21%だった。
 2位はボルソナロ氏の妻のミシェレ夫人で15%、3位はミナス・ジェライス州知事のロメウ・ゼマ氏(ノーヴォ)で10%、4位がボルソナロ氏の長男フラヴィオ上議(自由党・PL)が5%だった。
 わからないではない。タルシジオ氏が首位なのはボルソナロ氏の強い推薦で、国内最大州のサンパウロ州知事の座を掴んだという印象が強いためだろう。
 ボルソナロ氏のカリスマ性がいまだ強く残っていれば、ミシェレ氏やフラヴィオ氏の支持率はもう少し増えていたと思われる。一族の持っていたカリスマ性は、先週の当コラムでも書いたように、ボルソナロ氏が大統領選で奇跡の逆転勝利を起こせず、その後の三権中枢施設襲撃事件の一連によって、流石に落ちた状態にある。
 現状、タルシジオ氏が保守派政治家の先頭ランナーと考えて間違いないだろう。ただ、どういった方向性をとるにせよ、タルシジオ氏が大統領選で勝利するほどの世間的支持を集めることは、容易でないと、コラム子は見ている。
 タルシジオ氏が大統領選で勝つには、「22年大統領選ではルーラに投票したが裏切られた」との思いを抱く層を取り込む必要性がある。
 しかし、そこが難しい。ルーラ氏に投票した人の相当な割合が、ボルソナロ氏へ嫌悪感を持っているといわれているためだ。彼らの支持を得ようとすれば、強みの1つであるボルソナロ色を薄めなければならなくなってしまう。
 保守系インフルエンサーとして社会的影響力を持つ、ボルソナロ一家の子供達やカルラ・ザンベッリ氏、ビア・キシス氏、カルロス・ジョルディ氏、ニコラス・フェレイラ氏の後押しは、ボルソナロ派の印象を強めることになるので、受けないほうがいいだろう。
 とは言うものの、いかに拒絶率が高くとも、ボルソナロ派のここ一番での盛り上がりの力というのは強烈で、これを味方につけないと保守代表としてはきついところ。タルシジオ氏としてもこのあたりはジレンマだ。
 タルシジオ氏の活動を見ていると、今はあえてボルソナロ色を打ち出さず、サンパウロ水道局をはじめとする公社民営化事業で結果を残すほうが先だと考えているように見える。
 タルシジオ氏はいまだ40代と若く、それゆえの政治経験の少なさも気になるところだ。民営化事業で思うような結果が出なかった場合は、サンパウロ州知事をもう1期務めて、2030年の大統領選を目指すという展開もあり得る話だ。(陽)


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