ブラジル貿易会=今年の貿易収支を見直す=黒字見込みは864・7億ドル

ブラジル貿易会(AEB)が貿易収支の見直しを行い、今年は輸出入ともに2022年の実績を下回るが、黒字額は過去最高の864・72億ドルに達するとの見通しを発表したと19日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
AEBによると、今年の輸出総額は3239・37億ドルで、昨年の3341・36億ドルを3%下回ると見られている。他方、輸入は2374・65億ドルで、昨年の2726・1億ドルを12・9%下回ると見込まれている。
AEBのジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長によると、輸入が輸出以上に落ち込むため、黒字額は過去最高の864・72億ドルに達する見込みだという。昨年は615・26億ドルの黒字だったから、40・5%の伸びとなるが、同会長は、輸出入が減少したことで生じた黒字増額は経済活動や雇用がうまく回っていない証拠で、肯定的な面よりも否定的な面の方が大きいという。
輸出と輸入の双方が落ち込むため、貿易総額は、昨年の6067・46億ドルを7・5%下回る5614・02憶ドルとなる見込みだ。
2022年12月20日に発表された今年の見通しは、輸出が3251・62億ドル、輸入が2532・29億ドルで、719・33億ドルの黒字となっていた。
カストロ氏によると、輸出の落ち込みはコモディティを含む製品価格の低下が主要因だ。輸入については、22年は製品価格が急上昇したが、今年は並外れた急上昇についていけず、現実にあう価格に調整されているためと説明している。同氏によると、昨年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻に伴って価格が急騰した肥料なども、現在は現状にあった価格に調整されているという。
なお、ブラジルの輸出品目は相変わらず一次産品が中心で、輸出上位の15品目中、14品目はコモディティだという。
また、付加価値の高い製品の輸出を増やしたいという夢は、税制改革によって実現できる可能性があるが、税制改革のための憲法改正補則案(PEC)が承認され、実際の適用が始まるまでには時間を要するとし、それまではコモディティが輸出の主力という状態が続くという。
また、アルゼンチンの経済危機も自動車などの工業製品の輸出を困難にすると見られており、輸出全体に占めるコモディティの比率が拡大する可能性があるという。
コモディティの中でも、収量が新記録を更新した大豆は輸出品目で1位を維持。相場が12・7%下落したにも関わらず、500億ドルの大台も突破した。量においても、22年の7900万トンを24%上回る9800万トンとなって、過去最高記録を更新すると見られている。
反対に、輸入品目の90%は工業製品で、ブラジルでは産業が成長すると輸入が増える傾向があると評価している。今年の輸入が下方修正されたことは、産業が振るわないことも示しており、国内総生産に占める比率も落ちているという。