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快演の日系コミュニティ=パラナ民族芸能祭に懸けた想い

2023年7月25日

琉球國祭り太鼓の『島人の宝』
琉球國祭り太鼓の『島人の宝』

 去る7月8日夜、第61回パラナ民族芸能祭の日系コミュニティ(日本チーム)の公演がクリチバ市内のグァイーラ劇場で開催された。今回は3階席まで来場者があるなど、これまで以上に盛況だった様子。本番の舞台を前に、芸能祭への意気込みなどを出演者とスタッフらに聞いてみた。
 日本チームのコーディネーターを務め、舞台で三味線演奏も行った大嶋裕一さん(70歳、熊本県出身)によると、各演目はそれぞれ出演する日系団体が選び、テーマも自由だという。昨年、87歳で亡くなった母親の圭子さんは以前、日本舞踊の指導も行い、35年にわたって同芸能祭に出演した経験があったそうだ。それだけに、大嶋さんの芸能祭に懸ける思いもひとしおで、今年は『秋田おばこ』の三味線演奏とともに、サンパウロ市からゲスト出演した三味線奏者・赤堀雄三氏作曲の『決心』を2人で熱演した。
 生長の家踊り部指導者の山田チエコさんは、父親が山形県出身であることから今回、『花笠音頭』をメンバーとともに出演して披露。花笠は山形県から持ってくるなど、準備を進めてきたという。
 今年、2部構成で全22演目を披露した日本チームの中でも、若手とベテランがそれぞれ『藤娘』『恋の柳橋』など6演目の舞台をつとめた日系踊り会。代表格の林ドラリセ氏によると、現在のメンバーは約20人。昨年、3年ぶりに本格開催された同芸能祭と今年5月に行われた「日系クリチバ龍千多会温習会」の影響もあり、特に若手会員の入会が増えているそうだ。
 30年以上にわたって毎月、サンパウロ市からクリチバ市に足を運んで日本舞踊の指導を行う花柳龍千多さんは「ベテランの生徒たちが若い人たちをきちんと指導してくれているので、今年はずいぶんと(教えるのが)楽になった」と率直な感想を語る。
 サンパウロ市からの指導者派遣は近年、沖縄県人会クリチバ支部でも行われている。昨年4月から毎月1回、クリチバに三線(さんしん)の指導に来ている三線胡弓(くちょう)研究所師範の吉村尊雄(たかお)さん(41、2世)と、7年ほど前から琉球舞踊を教える太圭流華の会ブラジル支部の伊集(いじゅう)ジュリアナ師範だ。今年の芸能祭出演のために、琉球舞踊、三線、琉球國祭り太鼓のメンバー合わせて、総勢約60人がサンパウロ市から駆けつけた。

日系踊り会の『恋の柳橋』
日系踊り会の『恋の柳橋』

 15歳の時から仕事の合間に趣味で三線を弾いているというクリチバ在住の山城弘義(ひろよし)さん(81歳、沖縄県出身)はこの日、琉球國祭り太鼓の若者たちがエイサー太鼓で踊る中、『島人の宝』を仲間とともに三線で演奏。本番前には「サンパウロから大勢の若い人たちに来てもらって頼もしい限り」と目を細めていた。
 民舞愛好会に所属し、『桜みち』を踊った最高齢出演者の梅沢ツネさん(96歳、福島県出身)。25年ほど前から毎年のように芸能祭に出場しており、今でも毎週月曜と水曜の週2回は踊りの稽古を行っている。「9月には(クリチバ市で)春祭り(のイベント)もあるので、今から踊るのが楽しみです」と、元気な姿を見せていた。


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