「Drex」に決定=中銀デジタル通貨名

ブラジル中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の名称が「Drex(ドゥレックス)」になると7日に発表された。同日付テラサイトなど(1)(2)(3)が報じている。デジタル通貨プロジェクトは昨年発表され、これまでは「レアル・デジタル」と呼ばれていた。
中央銀行によると、Drexの「D」はデジタル、「R」はブラジル通貨であるレアル、「E」はエレクトロニック、そして「X」は現代性とのつながりという意味が含まれており、2020年に創設されたPix(電子送金サービス)からも1文字取ったという。
Drexはブラジル通貨レアルと同じ価値を持つデジタル版で、1レアルは1Drexに相当し、価値は変動しない。よって、規制のないビットコインやイーサリアムのような暗号資産とは異なり、投資の特性を持たない。
中央銀行はデジタル経済を促進することでビジネスの可能性を拡大し、万人が金融システムを利用可能にすることを目指している。デジタル通貨の導入で現金の流通量を減らし、スピーディーな決済やコスト削減を見込んでいる。また、国際決済銀行(BIS)の調査によれば、世界の中央銀行のうち、80%以上がデジタル通貨の開発に着手しており、仮想環境での国際競争を促進する狙いもある。また、世界中で変換の必要がなく使用できるようになれば、マネーロンダリングなどの犯罪行為の抑制も期待される。
デジタル通貨は技術的な関係性からPixの「いとこ」と考えられているが、各々、本質的な違いがある。Pixは送金用のツールだが、Drexはそれ自体が通貨であり、実際に送金されるお金そのものと認識される。このため、Pixをはじめとする既存の方法を利用して支払いや送金を行うだけでなく、国債の売買などの可能性も含まれる。
Drexを利用するには、銀行や支払い機関など、中央銀行の管理下にある機関に仮想ウォレット(財布、口座)を持つ必要がある。当然、金融サービスの利用料が発生するが、自動化に伴い、仲介が不要になるため、コストの大幅な削減も見込まれている。
デジタル通貨は既に3月からテスト段階にあり、模擬運用は9月に予定されている。24年末までには一般の人々も使えるようになる見込みのようだ。