大統領府=シジ容疑者にルーラ旅程送信=内部手違いで3月半ばまで=調査委員会がメールに注目

5月の逮捕以降、勾留が続いているボルソナロ前大統領の右腕の陸軍中佐マウロ・シジ容疑者のメールアドレスに、政権交代後も大統領府安全保障室(GSI)の手違いでルーラ大統領の公務による旅行スケジュールが渡っていたこと、またシジ容疑者自身も大統領府のメールに頻繁にログインを試みていたことを9、10日付フォーリャ紙(1)(2)が明らかにしている。
これは、大統領府が三権中枢施設襲撃事件の両院合同議会調査委員会(CPMI)に送った資料で明らかになったものだ。それによると、GSIは1月1日の政権交代後も、シジ氏のアドレスが無効にされた3月15日までの間に計11回にわたり、ルーラ大統領の公務の旅行日程表を送っていたという。
これは大統領府自身が過失を認めている。大統領府によると、これは人事異動が遅れたために起こったものだという。本来なら、政権交代と同時に、約1100人ほどの前政権関係者のアドレスを無効にしなければならなかったが、GSIにはこの当時、この作業を行う担当者が2人しかいなかった。しかも、無効化はマニュアル作業で、かなり煩雑なものだという。
シジ氏に渡っていたルーラ大統領の旅行に関するメールには、目的地や概要、警備担当者名などが記されていたという。中には中国行きに関する緊急メールなど、かなり重要なものも含まれている。
さらに、シジ氏の他にも、ボルソナロ氏の別の軍人側近だったオズマル・クリヴェラッティ氏にも、6月頃までルーラ氏の旅行スケジュールが届いていたこと、GSIのメールシステムで長期間にわたってバックアップ機能が故障していた問題があったことも明らかになっている。
また、10日の報道によると、同容疑者はアドレスが無効になった後も計99回、ログインを試みていたという。最後にログインを試みたのは3月17日だ。まだアドレスが有効だった今年の1月~3月15日には、500回以上のログインを試みていたことも明らかになっている。
大統領府関係者は、「急に使えなくなったことで焦り、何とかしようと試みたのではないか」と見ている。
現在、シジ容疑者のメールの存在はCPMIの注目の的となっている。襲撃事件の容疑者とボルソナロ氏との間に何らかの関係がなかったかを確かめるためだ。
シジ氏のメールをめぐっては別の疑惑も浮上している。一つは、UOLサイト(3)が報じているように、同容疑者が押収済みのアドレスで1万7千件以上のメールを消去しようとしていたことだ。これらは完全に消えたわけではなく、まだ「ゴミ箱」に貯められた状態だという。
また、フォオーリャ紙(4)が報じているようにサウジアラビアが2019年10月30日にボルソナロ氏に贈呈したロレックスの高級時計を6万ドル(約30万レアル)で売る交渉を行っていた疑惑関連のメールも見つかっている。
シジ氏の交渉メールは22年6月6日付で、時計そのものは昨年末にボルソナロ氏と共に米国に持ち出された後、シジ氏の父のマウロ・ロウレナ・シジ氏の手で売却された。だが、11日にG1サイト(5)が報じたように、連邦会計検査院(TCU)に提出する必要が生じ、前大統領の弁護士のフレデリック・ワセフ氏が売却額以上の額で買い戻したことが判明している。