「上院と政府を貶めるな」=ハダジが下院に苦言で波紋=リラ議長との間に緊張走る

フェルナンド・ハダジ財相(労働者党・PT)が「下院には大きな権限がある」と発言したことに、下院の政党リーダーたちが反発。今週後半に下院で審議、投票の予定の財政均衡法(アルカボウソ)に関する事前の打ち合わせがキャンセルされるなど、不安を残している。14日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
ハダジ財相の問題発言は、ジャーナリストのレイナルド・アゼヴェド氏のバンデイランテス局の番組「レコンヴェルサ」で飛び出した。収録は11日に行われたが、公開されたのは14日だった。
ハダジ氏はそこで、「下院にはとてつもなく大きな権限がある。彼らは下院や連邦政府を辱めるためにそれを使うべきではない」と語った。この発言は報道されるや否や、下院の政党リーダーたちの間に不快感が広がった。そのため、14日に行われる予定だったアルカボウソに関する会議が中止になった。
アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)の側近は、「アルカボウソ審議前の会議を開く前にハダジ氏の説明が必要になる」と語っている。リラ議長も、名前こそ伏せていたものの、ツイッターで協調性が必要だと主張し、ハダジ氏の発言を牽制している。
ハダジ財相は報道から約5時間後に真意を問われ、「あれは下院を指して言ったものではない。法案などの審議の都度、大統領が政党と交渉する必要がある現状を指したもの」と語った。
同氏によると、この傾向は過去2期にわたるルーラ政権の頃から見られ、「それに代わる体制的により強固なやり方がまだないということだ」とした。また、「下院を批判したいだなんてとんでもない。あの発言は、連邦政府と上院、下院がより強固で長続きする関係性を築いていきたいと願う気持ちから出たものだ」とも語った。
15日付フォーリャ紙(2)によると、問題とされた発言は、ハダジ財相とリラ議長が11日に行った電話会談で折り合いがつかなかったことが原因で、両者の側近がそれを認めているという。この電話会談では、来年の連邦政府の財政赤字ゼロ化というアルカボウソでの目標達成のため、財相がオフショア企業や国外のファンドに課税する暫定令(MP)の承認を求めたのに対し、リラ氏が「その法案は進ませない」と強い口調で語ったという。
「オフショア暫定令」とも呼ばれるMPは8月27日まで有効だが、現状では承認される可能性は薄い。MPは6カ月以内に承認されないと失効するため、最低賃金関連のMPの報告官のメルロング・ソラノ下議(労働者党・PT)は、最低賃MPに関する意見書にオフショアMPの内容も盛り込み、両院合同委員会で承認をとったが、リラ氏はまだ、オフショアMPと抱き合わせたMPの審議開始を認めていない。
ハダジ氏は問題の放送で、「下院がGDPの0・4%相当の400億レアルの議員手当を出させている。そんな国が他にあるか」とも発言。リラ議長は多くの政党を連立勢力に取り込むよう、ルーラ大統領に進言し、PPと共和者(RP)各1人を閣僚に加えることで合意を得ている。
15日付G1サイト(3)、(4)によると、大統領はハダジ財相と下院の対立でアルカボウソの投票が立ち消えになることを恐れ、14日朝、アレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官と会談後、今週中に組閣問題は解決すると約束。ハダジ氏も同日午後、リラ氏との電話で発言の真意を説明し、下院の批判的な雰囲気は解消したと語っている。