全国で広域停電発生=25州と連邦直轄区で

15日、ロライマ州以外の全国土にまたがる広域停電が突然発生し、大混乱が生じた。同日付CNNブラジル(1)などが報じている。
停電は15日午8時31分に発生した電力供給網上の「電気的な切り離し(切断)」によって生じた。全国電力システム運営機構(ONS)によると、これにより全国の電力供給量が25・9%落ち、広範囲で停電が起きたという。8時30分の電力供給量は7万3484・4メガワット(MW)だったが、10分後は5万4383・7MWだった。
電力供給は8時41分から徐々に回復し始めたが、停電被害は全国に広がった。停電は全国をつなぐ送電システム(SIN)に接続されていないロライマ州を除く、25州と連邦直轄区に及んだ。
特に被害が大きかったのは北部で、電力供給量が83・8%落ちた。北東部は44%、電力システムを共有する中西部と南東部は19%、最も被害の少なかった南部でも15・5%減った。
メトロポレス(2)が報じたように、サンパウロ市では、商業の中心のパウリスタ大通りや金融街のファリア・リマなどを通る地下鉄4号線が9時25分までの55分間、減速運転を余儀なくされ、各駅が足止めされた人たちでごった返した。またG1サイト(3)が報じたように、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテやバイア州サルバドールでも地下鉄が止まり、線路を歩く人の姿なども見られた。また、病院で電気が消えて恐怖感を覚えた人や携帯電話の電波が弱ったと不満を漏らす人、現金自動預け払い機が動かないなどの苦情も相次いだ。
中西部、南東部、南部では10時51分に電力復旧と発表したが、北部、北東部では10時22分現在も「北部で28%、北東部で68%が回復」との発表に止まった。
回復のため、イタイプーからの送電量も増やされたが、12時過ぎのジェラルド・アルキミン副大統領による発表でも「北東部で80%、北部で40%以上が回復」で、完全復旧は午後となった。
15日付UOL記事(4)「停電で何が起こったのか」によれば、北東部にある発電設備に問題が発生し、それが広がらないように北部と北東部の送電網が南東部から分離された。これは「ドミノ効果」による深刻化を防ぐための管理システムだが、その結果、南部からの電力供給が減り、北部・北東部を中心にひどい停電になったようだ。詳しい原因は解明通だ。
UOL記事(5)によると、広域停電後、進歩党(PP)のシロ・ノゲイラ党首は停電と燃料代値上がりの発表が重なったことでルーラ政権を批判。昨年の大統領選候補だったシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)は「エレトロブラスを民営化したりするからこうなる」とし、同社の民営化を維持している現政権は「臆病」で無責任と皮肉った。