下院、財政均衡法を再承認=歳出上限法は撤廃へ=歳入増が未知数のまま

22日、下院で財政均衡法案(アルカボウソ)に関する投票が2度行われ、賛成多数で承認した。この日の承認で同法案の審議は終わり、あとは大統領の裁可を待つだけとなった。これにより、ルーラ氏は選挙公約を果たし、政府が志向する歳出増加の障害を取り除くことに成功した。同日付フォーリャ紙(1)やG1サイト(2)が報じている。
アルカボウソは5月に下院で一度承認されたが、6月に上院が修正を加えたため、下院での再審議が必要となっていた。22日の下院の審議で、上院が修正した項目をどのように扱うかが注目されていた。
この日に行われた1回目の投票は、上院が加えた修正の内、基礎教育開発基金(Fundeb)と連邦直轄区の憲法基金をアルカボウソの上限適用の対象から外す件だった。ただし、科学技術革新省関連の経費は上限適用の対象に戻された。
この項目は379対64の圧倒的多数で承認された。反対した議員たちは野党最大勢力の自由党(PL)が中心だったが、同党でも反対は43人で、賛成の47人の方が上回っていた。その他ではノーヴォが同党の下議3人が全員反対したが、その他の政党はほとんどが賛成に票を投じていた。
もう一つの上院の修正点は、インフレ高進の影響を組み込むための追加融資の承認を条件に、連邦政府が約320億レアルの条件付き経費を伴う2024年の年次予算法プロジェクト(PLOA)を送付することを認めるというものだ。これに関しては差が更に大きく、423対19で否決された。
この項目の投票では下院の政府リーダー、ジョゼ・ギマリャンエス下議(労働者党・PT)が反対するよう求めたが、左派勢力が賛成。特に、社会主義自由党(PSOL)は全員が賛成に投票した。
これが否決されたことにより、連邦政府は400億レアル分の予算を確保する道が開けた。そのためには下院で承認を受けねばならないが、上院の二つ目の修正項目に反対したのはこの予算のことが念頭に置かれている。
これにより、上院での修正案に関する審議が終了したため、アルカボウソはルーラ大統領の裁可を待つだけとなった。これにより、テメル政権の頃から6年余り続いてきた連邦政府予算の歳出上限規定は撤廃されることになる。
これにより、24年度予算案に盛り込む支出はインフレ率を超えることが認められる。連邦支出がインフレ分に加えて、実質ベースで毎年0・6%から2・5%増やせるようになったからだ。
だが「新規歳入に過度に依存する新ルールの実施には依然不信感が残っている」と22日付フォーリャ紙は報じる。基礎的財政赤字を解消するには、2024年だけで1300億レアルの追加歳入が必要と政府は試算しているが、どう歳入増を図るかは未知数だからだ。
また、歳出は、基礎収支の赤字減額が目標の範囲内なら翌年は実質的な歳入増の70%まで増やすことが可能で、目標が達成されなかった場合は50%以下に抑えられる。
なお、今回のアルカボウソ承認には、フェルナンド・ハダジ財相が望んでいた別名「タシャソン」と呼ばれる、富裕層が国外のオフショアの口座に持つ金に対する課税は含まれていない。これに関してはアルトゥール・リラ下院議長はじめ、下院の保守派やセントロンの議員から反対する声が目立っていた。
だが、CNNブラジル(3)によると、リラ議長は22日、オフショアの課税に関して「来週にも法案か暫定令が送られてくることになる」と語っている。