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気候変動目標達成には1兆レ=コンサルタント会社が試算

2023年8月26日

増加が続いた森林伐採や森林火災の抑制は気候変動目標達成への筆頭課題(23日付G1サイトの記事の一部)
増加が続いた森林伐採や森林火災の抑制は気候変動目標達成への筆頭課題(23日付G1サイトの記事の一部)

 コンサルタント会社オリバー・ワイマンが24日、サンパウロ市での企業家のイベントで、ブラジルが2030年までに気候変動目標を達成するには1兆レアル(2千億米ドル)の投資が必要と発表したと同日付エスタード紙サイトなど(1)(2)が報じた。この数字は世界経済フォーラム(WEF)の報告書を基に試算したものだ。
 ブラジルはパリ協定で、2005年をベースとした温室効果ガスの排出量を2025年までに37%、2030年には50%、2050年には0%まで減少させると約束した。当時のブラジルは世界6位の温室効果ガス排出国で、世界の温室効果ガスの3%を排出していた。
 WEFは、この目標を達成するには、違法な森林伐採を即座になくす、国や各部門の脱炭化戦略を策定する、移行のための金融手段を確立する、持続可能な課題に対する政治的な支援がある、労働者の質の向上や資格確保を図る、の五つの軸が必要としている。
 ブラジルで温室効果ガス排出量が最も多いのは森林伐採で、ルーラ政権は法定アマゾンの不法伐採ゼロ化などを目標に挙げているが、23日付G1サイトなど(3)(4)によると、法定アマゾンの温室効果ガス排出量は2019年に89%、2020年には122%増えており、2021年の排出量は10年以上遡って見ても最高だという。
 排出量が2番目に多いのは農牧業で、農牧用地の開発や金などの不法採掘に伴うものを含む森林伐採と農牧業を合わせた温室効果ガス排出量は全体の70%に及ぶ。
 オリバー・ワイマン社は、パリ協定に基づく目標達成には1兆レアルが必要とした上で、資金調達には国外からの資金と国内銀行からの融資、政府による支援が不可欠と強調している。
 また、これらの資金の約3分の2は農牧業とエネルギー部門に投ずるべきと主張。農牧業では食の安全を確保しつつ脱炭素化を図ることが課題で、エネルギー部門では風力や太陽光による発電施設創設、エネルギー貯蓄技術の開発、効果的な発電と供給に向けた取組などが必要だ。残る3分の1はバイオエネルギーや緑の水素、自動車部門での脱炭素化などへの投資に充てるべきだという。イベントでは資金の一部は各社のグリーン投資で生じた利益から得られる可能性も指摘された。
 また、先進諸国が気候変動対策として多額の投資を打ち出す中、ブラジルが明確な目標達成策を示し、世界一の気候変動対策国候補として名乗りをあげることがより多くの支援を得る鍵との声もあり、現政権が準備中の生態変革計画(PTE)や、国連総会、国際フォーラムでの言動が注目されている。


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