連警捜査=宝石転売疑惑で対応相反=ボルソナロら黙秘権行使=シジと父らは長時間供述

8月31日、ブラジリアの連邦警察でボルソナロ前大統領ら計8人が、サウジアラビアから贈られた贈り物の違法転売の嫌疑に関して、事情聴取を受けた。これに関し、ボルソナロ氏とミシェレ夫人ら、計5人は黙秘権を行使。前大統領の右腕のマウロ・シジ容疑者とその父、前大統領の弁護士のフレデリック・ワセフ氏は長時間の供述を行った。同日付G1サイト(1)やフォーリャ紙(2)が報じている。
この日、証言が求められたのはボルソナロ大統領、ミシェレ夫人、前大統領側近(マウロ・シジ氏、オスマル・クリヴェラッティ氏、マルセロ・カマラ氏の3人)、前大統領広報担当のファビオ・ワインガルテン氏、シジ氏の父親でボルソナロ氏の長年の親友であるマウロ・ロウレーナ・シジ氏、フレデリック・ワセフ弁護士の8人だ。
事情聴取は午前11時から、個別かつ一斉に行われた。このような形で供述を行わせたのは、時差を置いて行うことによって後から供述する人に供述内容が伝わり、口裏を合わせることがないようにするためだ。
この内、ボルソナロ氏、ミシェレ氏、ワインガルテン氏、カマラ氏の4人は黙秘権を行使した。彼らが黙秘権を行使したのは、今回の件が最高裁、それも、アレッシャンドレ・デ・モラエス判事の管轄であることを不適切と判断したためだ。モラエス氏が同件を扱うことについては連邦検察庁も疑問を呈したとされ、モラエス判事がネット犯罪疑惑などの捜査と関連付けるためにこの機会を利用したとの見方もあるため、この4人は「正当な判事が命じた際に答える」との態度を取っている。
今回の8人はいずれもモラエス判事のネット犯罪者捜査の対象にも含まれており、シジ容疑者の携帯電話の内容などでも名前も挙がっていた。モラエス判事は彼らの間での会話も禁止していた。
ボルソナロ氏は現在、二つの嫌疑で捜査対象となっている。一つは、ロレックスの高級時計や宝石セットなど、サウジアラビア王室から贈られたプレゼントを空軍機で米国に運ばせたことで、もう一つはこれらを売って得た金がボルソナロ氏の手に渡ったことを匂わせるメッセージのやり取りが行われていたことだ。ボルソナロ氏の弁護団はこれらの嫌疑を否定している。
その一方で、シジ氏、ロウレーナ氏、クリヴェラッティ氏、ワセフ氏の4人は連警からの質問に応じた。彼らは自分たちの携帯電話の記録から浮かび上がってきた嫌疑に対して積極的に答えていたという。
とりわけ、シジ容疑者の供述は9時間を超えた。同容疑者は先週も連警に対して10時間を超える証言を行っていることから、「報奨付証言を連警との間に締結させるのではないか」との憶測が流れている。シジ氏はロレックスの高級時計の転売を行ったことで父親にも警察の手が及んだことを悔いて供述を始めたとされているが、前大統領は「(転売はシジ氏の)単独行動で自分には関係ない」との主張を展開されている。
8月31日付G1サイト(3)によると、ボルソナロ氏に最も近い筋の側近たちは、今回の供述で黙秘権を行使したことで、事態はさらに不利になったと見ている。彼らは今回の黙秘権行使の目的は「他の供述者との矛盾を出さないためだろう」と見ているが、「これまで通り、自身の正当性を主張するべきだった。これでは弁護が難しくなってしまう」と危惧している。