小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=47
和美の話を聞いていると、自分も少しは成長したとでもいうのか、何となく心に暖かいものを感じた。これが青春というものだろうか。
「和美さんと話していると、私にも心に触れる人がいたような気がする」
律子は思いきって言った。
「それ、どこの人なの」
「一緒に配耕になった家族がいて、その中に隆夫さんという青年がいたの。恋人と言えるかどうか解らないけど……」
「その人、今、どこにいるの」
「解んない。不良家族ということで耕地を追われ、行方不明なの」
「何だ、そんなこと」
「それでいいの。私はまだまだ、家のために努力しなければならないから」
それだけ話すと...
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