医療保険=支払い遅延激増で病院圧迫=困る契約者、悪化する経営

保険会社と病院間の支払いに関する問題が深刻化し、顧客からの苦情も山積と9日付フォーリャ紙や10日付エスタード紙など(1)(2)が報じている。
全国私立病院協会(Anahp)専務のアントニオ・ブリット氏によれば、支払い遅延額は過去最高で、病院経営の足を引っ張っている状態だ。48施設からの情報によると、医療保険加入者が受けた緊急対応や検査、入院などのサービスへの未払いは約23億レアル(約684億円)に及ぶ。
保険会社は部門全体が財政的危機に直面しており、支払いプロセスを厳格化し始めている。全国医療保険協会(Abramge)によれば、保険会社は2022年に、2001年以降で最悪の10億7千万レアルの運営赤字を記録した。23年上半期も既に4億3千万レアルの赤字で、年末時点では再び10億レアルに達する見通しだ。
問題の背景には保険会社が病院に対する支払いプロセスを複雑化したことがある。病院が保険会社から支払いを受けるまでにかかる時間はほぼ2倍になり、月額の支払い上限も設けられた。また、医療サービスに関する請求書の審査も厳格化し、病院に対する異議申し立てが約3倍に増えた。病院が支払いを受けるまでにかかる時間が増えれば、資金不足のリスクがより高まる。
他方、保険会社側は支払いプロセスの中で発生する異議申し立てに対してもある程度の支払いを確保しており、病院が提供したサービスに対して異議申し立てを行った場合も、その一部は最終的には支払われる見込みだと説明している。
ブリット氏は、保険会社が直面している財政状況はわかるが、未払い問題の影響は医療セクター全体に及んでおり、解決策を見つけるための協力と対話が必要と主張している。同氏は「これほど大きな数字は古くから携わっている人でも見たことがない」との言葉で深刻さを表現した上、「この問題は単独では解決できないし、事業者が問題を病院に転嫁しても解決しない」「部門全体で解決策を見つける必要がある」と語っている。
他方、医療保険の契約者からも苦情が急増中だ。国家医療サービス監督庁(ANS)によると、19年1~7月に寄せられた苦情は6万7690件だったが、今年1~7月は1日ほぼ900件となる18万5426件に急増。特に、医療プランの提供期限に関する苦情は4666件が2万9035件に522%増えた。保険会社はサービスインフラの改善とシステムの向上に取り組んでおり、苦情受付用の専用窓口を提供している。他方、セクター内での問題解決率は90%以上だと主張している。