ルーラ、股関節手術を無事終了=退院後も官邸で陣頭指揮

ルーラ大統領(労働者党・PT)は29日午後、ブラジリアのシリオ・リバネス病院で股関節(大腿骨と骨盤の間)の関節症を治療するための手術を受けた。入院は10月3日までの予定だと、29日付ポデール360など(1)(2)が報じている。
変形性関節症は二つの骨が接する部分の軟骨が摩耗し、組織が薄くなって骨が露出するため、痛みが生じ、それによって関節の変形をきたす疾患だ。ルーラ氏は全身麻酔を受け、大腿骨の骨頭を人工骨頭に置き換える手術と大腿骨が骨盤に収まる臼蓋に被覆を施す手術を受けた。
ジャンジャ夫人やルーラ氏を長年にわたって治療してきた主治医のロベルト・カリル医師が見守る中、ジアンカルロ・ポレゼロ医師を頭とするチームによる手術は約3時間を要した。カリル、ポレゼロの両医師と大統領府付きのアナ・エレナ・ジェルモグリオ医師は、17時過ぎに術後の記者会見を行った。(3)(4)
術後は1〜2日間、集中治療室(ICU)で経過を観察し、来月3日に退院予定。その後しばらくの移動は歩行補助具や電動ゴルフカートが必要とされる。
ルーラ氏は外国訪問や日々の多忙な生活の中で、1年以上にわたり股関節の激しい痛みに悩まされていた。
今回のような場合は通常、副大統領が業務を代行するが、ルーラ氏は手術後もできるだけ早く任務に戻りたいとし、業務代行は行わず、回復期間中の少なくとも3週間は大統領官邸で業務を行う。
この期間中、政府の公式代表として閣僚らが活動し、ジャンジャ夫人も重要な役割を果たすことになる。夫人は28日も閣僚らと共に洪水に見舞われた南大河州を訪れ、被災地を視察するなど、精力的に活動している。
一方、ルーラ氏が回復期間中も国の指揮をとることに懸念の声もある。特に、ルーラ氏と政治的な同盟者や中道勢力のセントロンの指導者らは、ルーラ氏が孤立し、コミュニケーションが途絶えることを懸念している。
ルーラ政権のメンバーも、状況に応じて大統領職を一時的に休業する可能性を示唆しており、ルーラ自身も手術前にはジェラルド・アルキミン副大統(ブラジル社会党・PSB)にその役割を委譲する意向を表明していた。ルーラ氏の多忙な外交日程のため、アルキミン氏は9カ月間で12回も代行を経験してきた。
ルーラ氏は、第3期目に突入する前に交わした「ブラジルのイメージを回復する」という約束を果たすため、数多くの公式外国訪問を行っており、既に21カ国を訪れている。手術日程も公式外国訪問の予定に影響を与えないように選ばれた。
大統領は手術後も11月末に、アラブ首長国連邦のドバイで開催される国連気候変動枠組み条約(COP28)に参加し、その足でドイツを訪問する予定と報じられている。