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ガザ危機=ルーラ、攻撃批判するも口濁す=ハマス名指しせず非難=ブラジル議長の安保理声明なし

2023年10月10日

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 7日に勃発したパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃は全世界を震撼させ、9日になっても激しい攻防が続いている。ルーラ大統領は7日、「両者の対立が激化しないように全力を尽くしたい」と語ったが、どちらの側に立つかなどの明言は避けた。7日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
 ハマスはイスラエルの領土に侵攻して爆撃などを行い、女性や子供などを含むイスラエルの民間人を人質にとり、殺害などを行った。これに対して、イスラエルもパレスチナのガザ地区に激しい空爆を行い、現地時間の8日夜現在で、イスラエル側700人、ガザ地区で413人の死者が出ている。
 ルーラ大統領は7日、この報道を聞いた後に声明を出し、「イスラエルへの攻撃は大いにショックだ」とし、亡くなった遺族に追悼の意を表明した後、「これはテロリズムだ」と呼んで武力行為を批判した。だが、その際にハマスの名前は出さなかった。
 大統領は続けて、「両国の対立が激化しないよう全力を尽くしたい。そのためには国連を含めて、イスラエルとパレスチナの両国が友好な関係になれるよう努めたい」と語った。
 その際に、両国との交渉の如何にかかわらず、パレスチナの国家承認を保障したいともした。当時のBBC(2)も報じたように、この背景には、ルーラ氏が前任期の2010年に、1967年に決められたイスラエルとの国境を基準とし、パレスチナを国家として承認していることがある。
 G1サイト(3)によると、外務省はこの声明の前に、緊急の国連安全保障理事会開催を通達したと発表。ブラジルは10月1日より輪番制の安保理議長国となっている。緊急会合はブラジリア時間の8日16時に開催されたが、8日付CNNサイト(4)などによると、ハマスを批判するのみで、合意には至っておらず、会合後の公式声明も出ていない。ブラジルのセルジオ・ダネゼ国連大使は、長く困難な対立に関する予測は政治家と軍に任せるべきだと述べている。
 他方、外務省は、ガザ地区に住んでいる30人、さらにイスラエルでの攻撃地となったアシュケロン地区に住む60人のブラジル人との連絡を継続して行いたいとの意向を示している。パレスチナには6千人、イスラエルには1万4千人のブラジル人が生活している。
 かつてのルーラ政権外相で現在は外交特別顧問のセルソ・アモリン氏は、「いかなるものであれ、市民を巻き添えにする攻撃を認めるわけにはいかない」として、ハマス側の行為を強く批判した。だが、同氏はその一方で、「今回の攻撃はイスラエルによるガザ地区やヨルダン川西岸地区での長年の差別と暴力の結果だ」としている。
 アモリン氏は、イスラエル軍が2003年頃から行っているヨルダン川西岸地区の実効支配によって土地を奪われたパレスチナ人が難民となっていることや、今年7月にその中の一つのジェニン難民キャンプでパレスチナ人が虐殺されたことを例に挙げている。パレスチナ難民に対するイスラエル側の扱いは、2017年に国連人権委員会からアパルトヘイトとの認定も受けていると当時のG1サイト(5)も報じている。
 他方、ボルソナロ前大統領は、「ルーラ氏の大統領当選を祝ったハマスによるテロ攻撃に強い嫌悪を感じる」と発言した。前大統領は在任中、トランプ前米国大統領と共に、イスラエルのネタニヤフ首相と同盟を組むことを希望していた。
 ロメウ・ゼマ・ミナス・ジェライス州知事も連邦政府にイスラエル支持を求めており、上院も8日夜、上院天井ドーム部分にイスラエル国旗を投影するなどして連帯を示した。


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