ガザ危機=ブラジル人退避の輸送機出発=6便で約1千人帰還か

ブラジル空軍(FAB)は8日、イスラエルとパレスチナの紛争地域にいるブラジル人の帰国作戦を開始すると発表した。また、発表後の声明では、外務省がブラジル空軍機派遣は「ブラジル在住のブラジル人を帰国させることを主な目的としている」と付け加えた。同日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
連邦政府によると、航空機第一弾は8日、リオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタル市の空軍基地を離陸した。同機は238人乗りのKC−30型機で、イタリアのローマに向かい、外務省の調整を待つ。
ブラジル政府筋によると、米国と欧州連合(EU)がテロ集団に分類しているイスラム過激派武装組織「ハマス」のイスラエル攻撃後、少なくとも500人のブラジル人が在イスラエル・ブラジル大使館に連絡を取り、指示を仰いでいるという。
ブラジルへの帰国希望者の数は次第に増えており、1千人ともいわれている。大使館が受けた連絡の大部分はブラジル人観光客からだという。
政府は帰国希望者のリストを9日までに作成する予定で、空軍は送還作戦に6機の航空機を割り当てる。空軍司令部によると、第一弾の送還フライトは、外務省との調整後、ブラジル本土へ向けて9日、もしくは10日にテルアビブの空港を出発する。
ブラジル外務省によると、ブラジル人はイスラエル全土に推定1万4千人、パレスチナには6千人が住んでいる。その内、ガザ地区には30人が住んでおり、さらに60人が紛争地域にいると推定している。
イスラエルの安全保障委員会は8日、現在のイスラエルとパレスチナの対立は戦争状態であると正式に宣言した。この衝突で、ブラジリア時間の9日14時の時点で1500人以上が死亡している。
なお、ハマスの攻撃により、イスラエル側にいたブラジル人の少なくとも3人が行方不明になっている。3人はいずれも同国南部で開催されていた音楽フェスティバルに参加していた二重国籍者だ。また、同イベントではブラジル人1人が負傷したことも確認されている。死者の報告はない。
ブラジル空軍のマルセロ・ダマスセノ司令官によれば、同作戦の調整は在イスラエル・ブラジル国大使館と共同で行われており、航空機には乗務員に加えて医師や精神科医も搭乗し、心身のケアを行うという。「同地域にいる全ての帰国希望ブラジル人を受け入れられるよう、調整が進められている。何人かは既に民間機に乗り込み、近隣諸国への移動を模索し始めている」と説明している。