ガザ地区=ブラジル人の親戚一家=アパート空爆で全員死亡

イスラム過激派のハマスによるイスラエル攻撃に端を発したガザ危機で、帰国を待っているブラジル人の親戚一家が19日夜、空爆を受けて全員死亡したと20日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
ガザ地区からの脱出・帰国を待っているブラジル人のアサン・ラベエ氏によると、ガザ地区北部のアパートに住んでいたいとことその妻、子供達、孫達が、イスラエル軍による空爆で全員死亡したという。空爆を受けたのはアパートそのものではなかったが、空爆の影響で、建物が全壊したという。
アサン氏は、「いとこは善良な市民で働き者で、こんな死に方をする理由は何もない。ガザ地区の市民に対する攻撃のせいで、どれだけの子供達が死ななければならないのか、見当もつかない」との言葉で胸の内を吐露した。
同氏によれば、今回の空爆では約60人が亡くなったはずだという。当局はこの数字を確認していないが、20日に、ガザ地区では19日から20日にかけて352人が死亡したと発表している。
パレスチナ地区のブラジル大使館はアサン氏の親戚一家の死亡を確認したが、アレサンドロ・カンデアス大使によると、アサン氏の親戚はブラジル国籍を持っていなかったという。
20日朝までの集計によると、ガザ地区ではこれまでに4137人が死亡。イスラエル側は1402人と報告されている。
イスラエルは先週、ガザ地区北部の人々は全員、同地区南部に移動するよう命じたが、ハマスが移動を阻んだことや健康上の理由などで北部に留まった人達も多数いる。
ガザ地区は食料や水、電気、燃料などが不足し、医薬品も含む人道支援物資の到着を皆が心待ちしているが、これらの支援物資も、イスラエルとエジプトの交渉が難航し、ガザ地区に持ち込めない状態が続いている。
なお、ガザ地区に住んでいるブラジル人は7日未明に外務省が用意したバスでエジプトとの国境まで移動したが、20日現在もエジプトに入国できず、帰国の目途が立っていない。ただし、ブラジル人達はブラジル大使館が差し入れた食料などがあり、ガザ地区の住民ほど困窮した状態には陥っていないという。