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ルーラ=マルコ・テンポラル認めず=法令裁可も34ケ所に拒否権

2023年10月25日

マルコ・テンポラルに反対する先住民のリーダーたち(9月20日、ブラジリア)(写真:Antônio Cruz/Agência Brasil)
マルコ・テンポラルに反対する先住民のリーダーたち(9月20日、ブラジリア)(写真:Antônio Cruz/Agência Brasil)

 ルーラ大統領(労働者党・PT)が20日、先住民族居住地制定にも直結する法令第14・701号(通称マルコ・テンポラル法)を裁可したが、34カ所に拒否権を行使した。拒否された主な項目のひとつは、先住民は現行憲法公布日である1988年10月5日の時点で居住し、生産活動を行っていた土地または当時法的係争中の土地にしか権利を持たないと定めた法的理論の「マルコ・テンポラル」だ。23日付テラ・サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じている。
 ルーラ氏が拒否権を行使しなかったのは、法の指導原則の定義、境界画定が認められる先住民の土地の種類、行政手続きにおけるアクセスと透明性の指針およびガイドラインを定義する一般規定に関する部分のみだ。
 他方、最高裁(STF)も否決した、当該地域が先住民族の土地であると証明する期限を1988年10月5日と定めた箇所には拒否権が行使された。
 ルーラ氏が拒否した別の箇所には既に区画された土地の拡張や、新法規則の下で未完了の行政区画手続きを適応させること、コミュニティの文化的特徴に変化が確認された場合や時間の経過による他の要因による変化があった場合、先住民族居住地の再統合を可能にすることも含まれている。
 大統領が拒否権を行使したもうひとつの条項は、先住民コミュニティや国立先住民族保護財団(Funai)のような先住民団体との協議なしに、軍事基地の設置、部隊の配置やその他の軍事介入を認めるものだ。これには道路網の戦略的拡張、戦略的代替エネルギーの開発、戦略的資源の保護などの協議も含まれる。
 同様に、医療と教育の提供を含む公共サービスに必要な設備、通信網、道路、輸送手段などの設置に関する規定や、遺伝子組み換えの作物栽培の可能性や先住民族居住地での鉱物採掘の可能性などの規定も拒否した。
 「この法案は、先住民族に保証された土地と権利の保護に影響を及ぼす可能性のある設備、道路、資産の設置および建設のための許可を拡大するものであり、公共の利益に反するものである。加えて、この規定は計画された介入によって影響を受ける可能性のある民族や地域社会との事前協議を規定しておらず、国際労働機関(ILO)が定める『先住民族および部族民の権利に関する条約第169号』や、2007年に発表された国連の『先住民族の権利に関する宣言』を冒涜するものである」として、拒否権の正当性を説明した。
 同法令は農牧業関係議員が強く推しているもので、大統領が拒否権を行使すれば連邦議会で覆すとの意向が表明されている中での拒否権行使となった。大統領拒否権を覆すには上下両院で絶対過半数の賛成が必要だが、農業議会戦線は下議303人、上議50人で、拒否権を覆すのに十分な人数を有している。


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