GLO=武器麻薬の密売撲滅へ=海軍が作戦内容を説明

【既報関連】リオ州とサンパウロ州の港湾・空港で6日から始まった「法と秩序の保証(GLO:Garantia da Lei e da Orden)」のためのオペレーションに関し、海軍地域作戦司令官のレナト・ランジェル・フェレイラ中将が内容を説明したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)が報じた。
同中将によると今回の任務は「海のGLO」と呼ばれ、兵士1900人だけでなく、巡視船やボート、装甲車両などの装備が使われ、予防的かつ抑圧的な行動が可能で、従来担って来た任務とは様相が異なるという。
今回のGLOはリオ州内の治安悪化を受けたクラウジオ・カストロ知事が連邦政府に要請したことで適用された。3軍兵士は武器や麻薬の密売その他の犯罪行為撲滅のための行動支援活動に加わる。
海軍のGLO任務はライス・デ・ギア作戦という作戦の一環だ。港のパトロールは以前からの軍の任務だが、GLOは活動範囲拡大や特定の行動への軍の使用を認めている。
グアナバラ湾でのパトロール区域は、リオ州最大の犯罪組織のコマンド・ヴェルメーリョ(CV)の拠点のマレー複合スラムに近い海岸を含まないが、犯罪者の動きは探知可能という。これは、海軍が埠頭や倉庫、一部海域をカバーし、組織的港湾多角形と呼ばれる、省令で区切られた区域で活動するためだ。同湾を航行する船やボートはこの区域を必ず通るため、違法行為が抑圧できるという。
リオ州警察は10月始めに発生したリオ市バラ・ダ・チジュッカでの医師3人殺害事件後、CVを標的とするマレー作戦を開始。10月に発覚したサンパウロ州陸軍兵器庫での重火器盗難事件では10~11月に10丁の盗難重火器ともう1丁の重火器を押収した。
また、警察との銃撃戦でNo2を失ったリオ市西部のミリシア(犯罪者の民兵組織)によるバスや電車焼き討ち事件後はエンブリオ作戦を展開。1日付G1サイトなど(3)(4)(5)によると、10月31日には医師殺害事件の真の標的でリオ・ダス・ペドラス地区を支配するミリシアの首領の一人のタイロン・バルボザとその父親を逮捕。6日もラゴス地方で国際的な麻薬密売容疑者逮捕など、警察組織による犯罪組織摘発が進んでいる。
そこに加わったのが、GLOで警察権も与えられた兵士達だ。フェレイラ中将は、リオ州2港とサンパウロ州サントス港が対象となったのは麻薬密売などを行う犯罪組織が活動しているからと明言。海軍は港湾で活動する連警や連邦道路警察、国家水上輸送庁、国税庁とも緊密に連絡を取りながら活動する。
6日付G1サイト(6)によると、同日はサントス港でも会見が行われ、エルソン・ルイス・デ・オリベイラ・ゴイス少将が海軍兵535人の任務について説明している。
GLOは来年5月までの短期間で、効果を疑う声もある。だが、7日付オ・グローボサイト(7)によると、ポルトガル治安情報局が欧州にはサンパウロ州が拠点の犯罪組織構成員が1千人以上おり、同国の刑務所でも約20人を収監中という報告書を出した。6日付アジェンシア・ブラジル(8)によると、5日には他国の協力も得た捜査により、エスピリトサント州ヴィトリア港で1・5トンのコカイン押収など、麻薬密売は国際問題だ。
ブラジルで1、2を争う犯罪組織であるサンパウロ州の州都第一コマンド(PCC)やリオ州のCVの活動地域中心に麻薬密売などの犯罪行為抑制を狙うGLOは回避不能な取り組みといえそうだ。