ベネズエラ=ガイアナの領土問題再燃=領土併合を問う国民投票へ

ベネズエラが隣国ガイアナの70%の領土併合を目指し、12月3日に国民投票を実施することを決めた。ホルヘ・ロドリゲス国会議長が発表した国民投票は「ガイアナとの紛争中の領土の防衛」に賛成するか否かを問うものだが、石油と鉱物が豊富な地域を占領する計画であるため、両国の対立はさらに緊張を高めており、国際社会は事態の進展を注視している。14日付コレイオ・ド・ポーヴォなど(1)(2)が報じている。
国民投票の正式要請は、国家選挙審議会(CNE)のエルビス・アモロソ議長との会談後に行われた。ベネズエラ側はガイアナのエセキボ地域に対する「譲渡しがたい権利を平和的に擁護する取り組み」であると主張しており、1899年の仲裁裁定に異議を唱えている。
広さ16万平方キロのエセキボ地域の領土紛争は、19世紀の植民地時代にまで遡る。当初、この地域はベネズエラの総督領に統合されていたが、フランスのパリの常設仲裁裁判所の決定により、1899年に英国の主権が認められた。
1962年、ベネズエラはこの決定に異議を唱えるため、国連に提訴した。ガイアナが英国から独立した1966年にジュネーブ協定が結ばれ、ガイアナが地域の管理権を得る一方、ベネズエラの異議を認め、紛争を解決するための枠組みを提供した。当初、この紛争の解決は4年以内に行われるはずだったが実際には進展せず、状況が膠着状態になった。
2015年に米国石油最大手のエクソンモービル社がガイアナの海域で大規模な石油埋蔵を発見したことを契機に紛争が再燃し、ベネズエラはオランダのハーグに本部を置く国際司法裁判所(ICJ)に訴え、再び要求を提示したが、ICJはこれを拒否。
ガイアナが先月、同地域で石油の入札を行うと発表したことに対しても、ベネズエラは批判的な姿勢を示している。
国民投票では同地域に「グアヤナ・エセキバ(Guayana Esequiba)」と呼ばれる新州を設立し、その地域の住民にベネズエラの国籍を付与することを計画している。ガイアナはこれを「拡張主義」と非難し、ICJに訴えた。元ガイアナ外相で、現在もベネズエラとの国境問題を担当するカール・グリニッジ氏は、「現在の脅威はガイアナにとって存続の危機と言っても過言ではない」とし、「修復不能で潜在的に永続的な」権利を失うリスクがあると指摘した。
また7日付エスタード紙(3)によると、ベネズエラ軍のボリバル国軍戦略作戦軍総司令官であるドミンゴ・エルナンデス・ラーレス氏は国民投票を支持する発言や動画を公開し、「エセキボはベネズエラのものだ」と主張。マドゥーロ大統領もエセキボに関するスローガンを掲げた軍事パレードの画像を公開している。
この緊張の激化に対し、バイデン政権は南方軍を通じて抑止手段を講じようとしているが、国際法の他にどのような措置がとられるかは未だ不透明だと報じられている。