サンパウロ市アウグスタ街=進むゴーストタウン化=新築ビルと地価高騰で

サンパウロ市で商業や芸術の地区として長く知られたアウグスタ街が、新築高層ビルが席巻して家賃や都市不動産所有税(IPTU)が高騰した結果、空き店舗が並ぶシャッター街、ゴーストタウン化しつつあると22日付フォーリャ紙(1)が報じている。
アウグスタ街は、市内最大の繁華街パウリスタ大通りと南部の富裕街ジャルジンスをつなぐ地域。古くから商業や芸術、ファッションの中心地として知られていた。ムタンチスやハウル・セイシャスといった国内の伝説的な音楽アーティストの歌詞の題材になったことでも知られている。
現在でもギャラリーや映画館、美容院などの多い地域だが、ここ数年、地価の高騰で閉店状態の建物が増えている。この地域でレストランを経営する30歳男性は「パンデミックで需要がなくなり多くの人が商売をやめてしまった」と語る。
空き家になった賃貸物件のコーディネーターである34歳男性は「問題は都市不動産所有税(IPTU)の高騰だ」と指摘している。
その一方では20階を超える新しい高層アパートなどの物件も売られ始めており、それが地区のIPTUを釣り上げている。ギャラリーを営む55歳の女性も自身や地区の将来を強く案じている。
また、商業の閉店が相次ぐことで訪れる人の数が減り、それがさらなる荒廃につながる悪循環を指摘する声もある。