デゾネラソン=法案全体に大統領拒否権=議会は拒否権の拒否表明

【既報関連】ルーラ大統領が23日、2011年に導入され、今年12月で期限が切れる、17部門での税軽減(デゾネラソン)を4年間延長する法案に大統領拒否権を行使したと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
デゾネラソンは、企業が従業員に給与を支払う時に給与額に対して課される社会保障負担金を廃止し、企業の総収入に対する負担金を導入することで、企業の負担を減らすという税法上の措置だ。
この措置はジルマ政権が特定分野の企業の負担を軽減することで、生産コスト削減や雇用確保を目指して導入した。対象となるのは皮革、履物、衣類、繊維、動物性たんぱく質、機械及び装置、情報技術、通信、コールセンター、貨物や旅客輸送関係、建設・土木関係の17分野の企業と小規模の市で、給与総額の2割の社会保障負担金を払う代わりに総収入の1~4・5%を払う。恩恵を受ける企業や市は従業員や職員の雇用継続や創出を義務付けられる。
この法令は今年で期限が切れるため、財務省は来年以降の税収増などをあてにしていたが、企業や労組の要請もあり、議会が27年末まで延長する法案を承認した。21日付G1サイト(5)によれば、法案裁可の期限(23日)が迫る中、延長措置で恩恵を受ける業界や労組の代表からなるデゾネラ・ブラジル運動は、同法案は直接雇用だけで890万人に影響を及ぼす上、対象企業の生産・輸送網その他の分野の雇用にも衝撃をもたらすとし、議会が認めた形のまま裁可するよう求めていた。
だが、ルーラ大統領は、同法案は法律で義務付けられている公的会計への影響を示さずに歳入免除を設けるもので、違憲だと主張し、法案全体に拒否権を行使した。拒否権行使は連邦政府が法案承認を阻止しようとした時から予想されており、24日にはハダジ財相も、同法案は違憲であり、財政収支の均衡を保つためにも終止符を打つべきとして、大統領の措置を擁護したと同日付アジェンシア・ブラジル(6)が報じた。
だが、議会はこれを不満とし、大統領拒否権を本会議で覆す意向だ。議会側は、税軽減措置の対象部門の雇用者は約900万人で、延長すればさらに160万人の雇用を生む可能性もあるとしている。24日付G1サイト(7)によれば、給与に対する社会保障負担金非課税を27年まで延長する法案を起草したエフライム・フィーリョ上議(ウニオン)は24日、「生産部門と地方自治体の連合が大統領拒否権を覆すことを信じている」と語った。
大統領の拒否権を行使した法令や項目に関する審議は早急に行われる予定で、税軽減に関する法案への拒否権の拒否は来週早々にも決まる可能性がある。