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田中龍夫揮毫の「拓魂」寄贈=移住家族会子弟研修OBら史料館に

2023年12月16日

左から西脇参事、元日本海外移住家族会連合会移住者子弟研修生OBの多田、中曽根勝、伊江朝彦各氏。山下リジア史料館運営委員長、中島エドアルドブラジル日本文化福祉協会事務局長
左から西脇参事、元日本海外移住家族会連合会移住者子弟研修生OBの多田、中曽根勝、伊江朝彦各氏。山下リジア史料館運営委員長、中島エドアルドブラジル日本文化福祉協会事務局長

 世界各国の日本人移住者とその家族の支援に尽力した日本の政治家・田中龍夫氏(1910~1998年)が「拓魂」と揮毫した書画の原本が、海外日系人協会・西脇祐平参事と元日本海外移住家族会連合会移住者子弟研修生OBの多田和文氏(サンパウロ市在住)らによって5日、ブラジル日本移民史料館へ寄贈された。
 田中龍夫氏は、田中義一内閣総理大臣の長男として山口県萩市で生まれ、戦後、貴族院議員を経て、公選制初の山口県知事となった。その後、13連期連続で衆議院当選を果たし、総理府総務長官、通商産業大臣、文部大臣、自民党総務会長を歴任した。

田中龍夫氏が揮毫した「拓魂」の原本
田中龍夫氏が揮毫した「拓魂」の原本

 1954年、海外視察の一環で欧米と中南米を訪問。欧米と比べ、中南米での日本の評価が高いのは、戦前移住者のお陰であり、今後もより移住を促進すべきだと当時の吉田茂首相に進言した。
 1962年に「日本海外移住家族連合会」を結成し、会長に就任。その後も、初期移民の日本訪問事業や、ブラジルの学校に馴染めず、教育を満足に受けられなかった移住者子弟向けに研修生受入事業などを実施。移住者に寄り添った政治家として活躍した。
 今回、寄贈された書画の原本は1983年に揮毫されたもの。日本海外移住家族会連合会の移住者子弟研修生制度で、工業彫刻を学んでいた多田氏のところに、田中氏の秘書が銅板を作れないかと尋ねに来たことをきっかけに、多田氏が原書の保管を行ってきた。多田氏によれば、銅板は三つ製作されたが、その行方は不明だという。
 多田氏は「寄贈は西脇参事のブラジル訪問がきっかけとなって決めました。田中先生の功績を是非より多くの人たちに知ってほしいです」と語った。

田中氏について語る多田氏ら
田中氏について語る多田氏ら

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