連邦政府=選挙にらみ国内重視へ=新年の優先目標を発表=PACや税制改革注力

第3期ルーラ政権が、2年目となる2024年の優先目標を明らかにした。今年は統一地方選に加え、連邦議会での課題が多いため、大統領の活動は国内を重視したものとなりそうだ。2日付G1サイト(1)が報じている。
ルイ・コスタ官房長官が明らかにしたところによると、今年の目標は計画立案より実践重視だ。具体的には、「経済活性化計画(PAC)に伴う各州での事業の本格的な立ち上げ」「G20議長国としての立場を利用した国際関係におけるブラジルの役割の強化」「税制改革の具体的な諸規定制定と連邦議会での承認」「セントロンとの良好な関係構築」「COP30を前にした森林伐採削減」をあげている。
2023年は、前任のボルソナロ氏との政策の違いを示すため、外交関係再構築を目標に、ルーラ氏は62日間外遊し、世界24カ国を訪れた。だが、大統領は、2024年に関してはなるべくブラジルに留まり、国内の評価を固めたいとの意向を持っている。
その理由としては10月に行われる全国市長選(統一地方選)の存在がある。同選挙の結果は、2年後に行われる大統領選にも強い影響を及ぼすため、極めて重要な意味を持つ。
そのため、24年は23年に発表したPACに基づいて国内を巡り、国内のインフラ事業や持ち家政策の「ミーニャ・ヴィダ、ミーニャ・カーザ」の本格再始動、新たな技術学校や連邦大学の設立などを活性化させたいとしている。そのことは、ルーラ氏自身が昨年10月にも発言していた。
今年下半期には選挙期間に入るため、政治活動が制限される。そのため連邦政府は上半期の内に、27連邦自治体の全てにおいてイベントを行うことを目標にしている。
また、昨年末に30年越しの懸案だった税制改革法案が連邦議会で承認されたが、これを実行するための諸々の部分的かつ具体的な規定を法制化するための法案も180日以内に承認させなければならない。焦点は免税となる基本バスケットに含まれる品目の定義や課税率が変わる製品やサービスの規定などで、健康や環境に有害な製品を阻止するために創設された、タバコやアルコール飲料などに対する通称「罪税」なども含まれる。
財政均衡法(アルカボウソ)で定めた2024年の基礎的財政収支の赤字ゼロ化という目標順守のための対策も不可欠だ。現時点では目標達成は難しいと見られ、下方修正の可能性も残されている。
また、下院では左派や中道左派勢力が513人中130人しかいないため、最大勢力のセントロンの協力を引き続き仰がねばならない。同勢力は昨年、スポーツ相や港湾空港相、連邦貯蓄銀行(CAIXA)総裁などの役職を得たが、セントロン側が依然として連邦政府の政局調整に不満を言いつづけている。そのため、さらなる歩み寄りがあるかや、2日に裁可した連邦予算基本法(LDO)で、議員割当金の払い出し期限に拒否権が行使されたことがどの程度影響するかが注目される。
国際関係ではG20議長国として、格差解消や気候変動問題、イスラエルとハマス、ロシアとウクライナの間の紛争問題への取り組みやメルコスルの運営が課題となる。また、2025年のCOP30開催国として、公約の森林伐採削減やエネルギー転換への責務も負う。2023年は法定アマゾンの伐採が22・3%減ったが、セラードは3%増えている。