パラナ選挙裁=モロ氏の罷免審議開始=期間前の資金乱用疑惑=突き放す現地メディア

パラナ州地方選挙検察局は昨年12月14日、セルジオ・モロ上議(ウニオン)は2022年選挙前キャンペーンに資金乱用があったとして罷免を申請した。その選挙地域裁の審議が22日から開始され、多くの現地メディアがモロ氏を突き放すような予測報道をしている。
モロ氏は2022年の上議選で「規定を大幅に上回る選挙資金を使った」として、ボルソナロ前大統領の自由党(PL)だけでなく、ルーラ大統領の労働者党(PT)とブラジル共産党(PCdoB)、緑の党(PV)の政党連合から訴えられている。
公判は年末年始の休暇中だったが、パラナ州選挙検察は休暇に入る直前の昨年12月14日に、モロ氏の行為は選挙法違反にあたるとして有罪と上議罷免を勧める意見書を提出している。検察側はモロ氏が選挙戦前のプレキャンペーンで少なくとも203万228・09レアルという巨額の資金を使用していたことを問題視した。モロ氏が申告したプレキャンペーン経費は14万1034・70レアルで、大きく異なっている。ポデモス在籍時のモロ氏は大統領候補でもあった。
だが、21日付のフォーリャ紙(1)やグローボ紙によると、PLは最新の試算でのモロ氏のプレキャンペーン経費は最低760万702・14レアルとし、PTは479万51・25レアルを使ったとしている。
パラナ州の上議選のキャンペーン経費の上限は444万7201・54レアルで、モロ氏が選挙法で認められた弁護士経費などを差し引いたシャッパ(連立名簿)の経費として届け出たのは424万3435・12レアルだった。
この額は上限以下だが、モロ氏を訴えた政党や政党連合はこの額はプレキャンペーン経費を含んでいないと主張。仮にPLやPTの主張が正しいとすれば、同州上議選に出馬した10人の候補の使用経費の約2倍を使ったことになる。
モロ氏の弁護士たちは、「法相だったモロ氏が州都第一コマンド(PCC)を警戒して払った警備費なども不当に含んでいる」として異議申し立てを示唆している。
一方、19日にはモロ氏の担当弁護士のロドリゴ・ガイオン氏が、今回の裁判の担当から降りたと発表した。理由は詳しくは発表されていない。モロ氏の陣営には弁護士がまだ5人いるが、劣勢と見られている裁判での弁護士交代への反応は否定的なものが目立っている。
また、カルタ・カピタル(2)などによると、審理再開時にはパラナ州選挙地域裁の判事7人中2人が任期満了で交代することになっている。これによって審理の流れが変わる可能性もあるが、判事の最終的な人事権は、かつてラヴァ・ジャット作戦担当判事だったモロ氏から実刑判決を下されたルーラ大統領にある。
21日付エスタード紙(3)(4)は、昨年12月の公判でPTが用意した200の質問には答えず、マスコミに「申告は正しかった」と繰り返すのみだったとして、モロ氏は裁判で不利になったとの記事を掲載。さらに、今回の裁判に加え、同氏の非公式な潜入者を名乗るトニー・ガルシア氏の訴えを基に最高裁が捜査命令を出したことで、「悲劇的な最後を迎えそうだ」とする、「モロ氏の崩壊」と題する社説も出された。同紙はラヴァ・ジャットとモロ氏に最も好意的なメディアと見られていたため、反響も大きかった。