マリエレ殺害事件=殺害命令容疑者ら3人を逮捕=ブラゾン兄弟にリオ市警元長官=遺族にとっても衝撃の展開に

リオの連邦警察は24日朝、2018年3月14日に起きたマリエレ・フランコ・リオ市議(当時)の殺害を命令した容疑者として、リオ州会計検査局(TCERJ)のドミンゴス・ブラゾン氏、同氏の兄で下議のシキーニョ・ブラゾン氏、さらに元リオ市警長官だったリヴァルド・バルボーザ氏の3人を逮捕した。州高級官僚や連邦議員に市警トップという本来なら不正や汚職を抑止する側の人間が犯罪組織と裏で結託していたことが暴露され、リオ行政や司法、政界の闇の深さに衝撃が走っている。同日付G1サイト(1)(2)(3)(4)などが報じている。
アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事が出した予防的逮捕令状に基づく、連邦検察庁とリオ州検察局、連警による「マーダー・インク作戦」は24日朝、突如行われた。その背景には、ここ数日の捜査の進展と、捜査の「意外な要素」を失わせる可能性のある情報の漏洩が動機となったという。ブラゾン兄弟はどちらも、逮捕に抵抗しなかったが、ドミンゴス氏は家宅捜査だけでなく、逮捕令状も出たと知って悲しんだという。連警は逮捕時に容疑者らの携帯電話やコンピューターも押収し、鑑識に回した。
3人の容疑者はリオの連警本部で収監前の尋問を受け、ガレオン空港で身体検査を受けた後、同日中にブラジリアに連行された。3人はブラジリアの連邦刑務所に収監されており、最高裁第1小法廷が満場一致で3人の勾留を認めた。
この逮捕は殺害実行犯で2019年3月に逮捕されたロニー・レッサ容疑者の司法取引による供述に基づいている。その内、ブラゾン兄弟に関しては以前から報道されていたものの、リヴァルド容疑者の関与に関する捜査は機密扱いだったため、逮捕によって初めて表面化し、多くの関係者を驚かせた。連邦警察はレッサ容疑者の供述などから、リヴァルド容疑者はブラゾン兄弟から聞いた殺害の意図を具体化し、殺害計画を立てた上に、ブラゾン兄弟の逮捕回避のために捜査を攪乱し、妨害していたと見ている。
今回のマーダー・インク作戦では、3容疑者の逮捕を含む12の捜査令状が出され、TCERJとリオ市警本部での家宅捜査も行われた。
3人以外では、殺害事件発生当時のリオ市警殺人課トップで最初の捜査担当者だったジニトン・ラジェス氏とその部下のマルコス・アントニオ・デ・バロス・ピント氏が捜査対象となっている。モラエス判事はこの二人の停職処分も命じている。
リヴァルド氏の妻のエリカ・デ・アンドラーデ・アルメイダ・アラウージョ氏も家宅捜査を受けた上、資産の差し押さえと彼女の企業の商業活動禁止が言い渡された。これは、リヴァルド氏が受け取った賄賂を資金洗浄した疑いが持たれているためだ。UOLサイトによると、リヴァルド氏は2019年11月にも、40万レアルの賄賂を受け取って捜査妨害を行った疑いがあり、連邦警察が目をつけていたという。
今回の報道後、マリエレ氏の母親のマリネッテさんは、リヴァルド容疑者逮捕に驚きを隠さなかった。リヴァルド氏は殺害事件当日、この事件を「民主主義への攻撃」と批判した上、事件の1カ月後には遺族を訪問し、「事件を解明すると宣言していたのに」と困惑の様子を見せていた。
リヴァルド氏はマリエレ事件の前日の2018年3月13日にリオ市警の長官に就任していたが、その指名を行ったのが、当時、リオの暫定統治を任されていた陸軍大将で後のボルソナロ政権の主要閣僚、22年大統領選ではボルソナロ氏の副候補だったヴァルテル・ブラガ・ネット氏だった。
この件に関してブラガ・ネット氏は「指名は別の軍の大将の勧めで行った」と語っている(5)が、同氏はリヴァルド氏がミリシアと緊密な関係があることを知っていながら指名したとの別報道(6)もある。