マクロン仏大統領26日来伯=環境やFTA協定も議題に

23日付フォーリャ紙(1)が、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、26日から3日間の日程でブラジルを訪問し、G7とグローバル・サウスの架け橋としての同盟関係を示す予定だと報じた。
マクロン大統領はルーラ大統領(PT・労働者党)を戦略的同盟者とみなしているが、その背景には、ボルソナロ前政権(自由党・PL)への対抗や、フランスの独立した外交政策に対する期待などがある。訪問では、環境、防衛、経済、政治などのテーマに焦点が当てられ、両国間の協力が強化される予定だ。
一方、ウクライナやパレスチナなどの政治的な問題では意見の相違があり、商業や環境問題においても両国の立場の違いが浮き彫りになる可能性がある。
2021年11月、ラヴァ・ジャット作戦での拘留を解かれて大統領選に向けて活動再開をしていたルーラ氏を、マクロン氏は大統領官邸に招き外交再デビューさせた。これは、ボルソナロ前政権下で高まっていたフランスとの外交摩擦への挑発と解釈された。
また、ルーラ大統領の側近たちは、フランスがG7の中で最も独立した外交政策をとっており、米国の指導に依存せず、独自のイニシアティブを採用する国だと考えている。このような立場から、マクロン大統領はグローバル・サウスの重要な問題をG7の議題に持ち込むことができると見なされている。
フランス外交筋によれば、マクロン氏はルーラ氏を富裕国と発展途上国の仲介役を果たせる国家元首とも見ている。また、両国が戦略的に一致し、他地域の関係者との対話能力を持っていることを、世界の異なる地域間のコミュニケーションを改善する上で重要だとしている。
マクロン大統領は3日間のブラジル滞在中に、ベレン(パラー州)、イタグアイー(リオ州)、サンパウロ、ブラジリアの4都市を訪問し、二国間関係の分野に焦点を当てる。来年のCOP30の会場となるベレンでは環境に関する議論が持たれ、イタグアイー海軍造船所では両国の防衛分野における協力関係を祝う予定だ。サンパウロでは、両国のビジネスマンによる経済フォーラムが開催され、医療分野の発表も予定されている。
最後は大統領府で政治問題と貿易交渉について話し合う。議題にはロシアによるウクライナ侵攻やガザ地区での紛争などの地政学的問題が含まれ、ハイチとベネズエラの情勢も議論される予定だ。
フランスは現在、欧州連合(EU)とメルコスルの自由貿易協定に対する抵抗勢力だ。EUは気候・環境目標を達成するために貿易を利用する戦略を進めているが、フランス政府は自国の経済を保護することを求める農民たちの声を重視している。EU当局者は先週、同協定はいくつかの点の再交渉を経て、バランスの取れた形で終了したと述べたが、マクロン氏は承認を拒否することで協定を阻止するという脅しを繰り返している。
25日付ヴァロール紙(2)は、マクロン大統領は、環境アジェンダと貿易アジェンダの両立について明確な方針を打ち出さなければならないと指摘している。もし環境を重視するならば、同協定の承認が困難になる可能性があるが、民族主義右派の勢力が拡大しない限り、その機会はまだあるかもしれない。一方、環境よりも生産者の保護を優先するならば、協定は長期間の交渉を経ても成立しない可能性があると報じた。