シキーニョ容疑者=下院で拘束延長決定=PLなど強く反対も=罷免審議の準備開始

10日、下院の憲法司法委員会(CCJ)と本会議で、2018年3月のマリエレ・フランコ元リオ市議殺害事件の殺害命令容疑で逮捕されたシキーニョ・ブラゾン下議(前ウニオン)の拘束継続の是非を問う投票が行われ、賛成が過半数超えで拘禁を続けることが決まった。保守派政党からは強い釈放要請があった中での決定だった。同日付フォーリャ紙(1)(2)などが報じている。
マリエレ事件は2018年3月に発生して以来、6年間、殺害命令犯が逮捕されなかったこともあり、国内外での批判や関心が高待っていた。だが、そうした事件にも関わらず、下議の間ではシキーニョ下議の処遇に関する意見が割れ、同下議の釈放を求める議員も少なからず存在した。
それは、特別職権(フォロ)のある連邦議員の逮捕だったからだ。この特権により、連邦議員の逮捕は保釈不可の事由による現行犯逮捕に限られ、議会の承認が必要となる。
このような事情から、アレッシャンドレ・デ・モラエス判事はシキーニョ容疑者の逮捕の事由をマリエレ氏ら殺害の罪ではなく、「犯罪組織における司法妨害の罪に関わる重大犯罪」としたが、現行犯逮捕ではないため、特権擁護派の連立与党議員からも白票や棄権が出た。反対派はこの逮捕は殺人罪によるものと認識し、殺害実行犯のロニー・レッサ容疑者による司法取引の証言のみに基づいていて具体的な証拠に欠けていると主張した。
また、反対は主に保守派、それもボルソナロ前大統領の自由党(PL)で目立っていた。シキーニョ氏は同じくリオを拠点とした政治家で、2022年の大統領選キャンペーンでもボルソナロ氏を支持する姿が記録されていた。
また、シキーニョ氏が逮捕直後まで所属していたウニオンや中道勢力セントロンの中でも保守寄りの共和者(RP)などでも反対意見が多く、この日の投票前は釈放を訴える動きなどを見せていた。
10日の投票はまず、CCJで行われた。CCJではエリカ・ヒルトン下議など、マリエレ氏が所属した社会主義自由党(PSOL)の下議らが拘束延長を強く求める演説をした一方で、反対派下議らが3月26日のCCJにシキーニョ氏がビデオ参加した際に主張した「(同氏がリオ市議だった時代)マリエレ氏との仲は良好だった」との発言などを基に、捜査の不適切さなどを主張し、釈放を求めた。
投票では64人の委員の内、39人が拘束延長を求めるダルシ・デ・マトス下議(社会民主党・PSD)に賛成。反対の25人を上回り、拘束延長が勧められる結果となった。
反対票を投じた委員の内、13人がPL、6人がウニオン、3人がRP、2人が民主刷新党(PRD)、1人がポデモス所属だった。
また、下院本会議での全体投票では拘束延長に賛成が277人となり、過半数の257人を超えたことで、拘束延長が決まった。反対票は129票で、83票がPL、22票がウニオン、8票がRPと、全体の約9割弱を占めた。PLは反対に投票することを義務付けたが、7人は賛成に投じた。
これを受け(3)、下院倫理審議会はシキーニョ氏の罷免審議の準備に取り掛かる。下院では全体の過半数の257人が賛成すれば罷免が成立するが、今回の拘束延長には277人が投票。倫理審議会内では、正議員と補欠議員計34人中、半分の17人が拘束延長に賛成票を投じており、罷免審議が始まれば、罷免推奨となる可能性が大きい。