サンパウロ州検察が29人を起訴=サンパウロ市バス会社で資金洗浄

【既報関連】サンパウロ州検察局が軍警や国税庁、経済防衛行政審議会と行った9日の「路線の終わり作戦(Operação ‘Fim da Linha)」は、サンパウロ市が本拠の犯罪組織、州都第一コマンド(PCC)絡みの犯罪摘発の一つで、サンパウロ市東部で13路線を運行するUPBusとサンパウロ市南部で100路線を担当するトランスウォルフの幹部や会計士、違法な銃所持の現行犯ら計6人が逮捕された。
9日付G1サイトなど(1)(2)(3)によると、バス会社二つの幹部ら4人への逮捕令状は組織犯罪や資金洗浄の嫌疑によるものだ。

検察によると、PCCは名義を貸してくれる人物や企業と会計士を使って自分達の息のかかったバス会社を設立。これらの会社がサンパウロ市市役所が開いた入札で路線運行権を得ると、今度は麻薬販売などで得た金を会社につぎ込み、配当などのきれいな金を受け取ると、別の企業への投資に用いるという形で利益を増幅させていた。
9日付G1サイト(4)によると、このことは同日午後、サンパウロ州検察局のリンコン・ガキヤ検察官が詳細に説明した。同氏によると、PCCが資金洗浄に使っているのはバス会社やごみ収集会社、保健衛生部門や社会福祉部門の社会団体など、公的機関の入札後に正規契約を結び、補助金などを受けられる機関で、洗浄後の金は高級車販売店や不動産会社などに投じられるという。
州検察局の調べでは、今回摘発された2社は正規契約に基づき、2023年だけで8億レ超を市役所から受け取った。検察は他のバス会社でも同様のことが起きていた可能性を続けて捜査している。
なお、州検察局は作戦遂行前、捜査対象の2社はサンパウロ市の動脈となる機能を担っており、運行は止められないことを市役所に通達。9日付アジェンシア・ブラジル(5)によると、市役所は同日、SPTransを使って2社の運営に介入すると官報に掲載した。市派遣の統括官は市監察局(CGM)や市検察局、市財務局と協力し、操業を止めずに捜査を進める体制を敷いている。
なお、10日付リベラル・サイトなど(6)(7)によると、州検察局と組織犯罪対策特別班(Gaeco)は10日、路線の終わり作戦に関連した組織犯罪、資金洗浄、恐喝、横領に関与した容疑者29人(リベラル・サイトより、アジェンシア・ブラジルでは26人)を起訴したが、証人としてサンパウロ市市議会のミルトン・レイテ議長(ウニオン)と元サンパウロ市交通局長のジルマル・タット下議(労働者党)の名前も掲載。検察によると、PCCは2014~24年にUPBusに不正資金2千万レ超を投入。同社は2015年から市役所の入札に参加している。トランスウォルフでも約5400万レが洗浄され、同社が入札資格を得るのを助けた。
なお、11日付G1サイト(8)によると、CGMは9日の作戦後、UPBusとトランスウニオンでの資金洗浄は2022年から捜査していたことや、トランスウォルフに関する情報をGaecoと交わしていることを明らかにした。
また、10日付G1サイト(9)によると、軍警や市警備隊は9日の作戦以降、PCCの妨害行為を防ぎ、バスの運行を保障するため、バスターミナルや車庫の警備を強化している。