米下院委員会=STF守秘判決を暴露=ブラジルに検閲疑惑と糾弾=X処分巡りマスク擁護

米下院司法委員会は17日、イーロン・マスクのソーシャル・ネットワーク「X」に関わるブラジル最高裁判所(STF)と同選挙高等裁判所(TSE)による守秘事項を含む司法命令の内容を報告書として暴露してブラジルにおける検閲の疑惑を糾弾することで、間接的に同じ左派のバイデン政権を批判して物議を醸している。「言論の自由」議論に関する伯米の温度差が顕在化している。同日付フォーリャ紙やカルタ・カピタルなど(1)(2)が報じている。
裁判の内容は、17日に米国下院法務委員会に提出された報告書で明らかにされた。同報告書は、「外国における表現の自由への攻撃、並びにそれに対するバイデン政権の沈黙」と題されていた。
この報告書では、SNSプラットフォーム「X」に対してブラジルの最高裁が求めていた処分に関する内容が明らかにされている。報告書は540ページに及び、最高裁による88の決定が書かれている。その内の51件がモラエス判事によるものだ。また、Xやインスタグラム、フェイスブックに対して行われた、選挙高裁による37件の決定に関しても記されていた。
さらに、これによって約150のアカウントが停止処分を受けており、他のプラットフォームも含めると、300ほどのアカウントが停止される危機にあるとも書かれている。
これらの決定の多くは、ブラジルでは守秘事項として扱われている。
報告ではさらに、米国連邦議会は、米国だけでなく、表現の自由を守るため、中米や南米も含む、米州そのものを脅かす脅威に対して立ち上がらなければならないとしている。
同委員会の委員長はジム・ジョーダン下議(共和党)で、米国内でも代表的な極右政治家として知られている人物だ。
これらの内容は、世界的な大富豪としても知られるXの社主イーロン・マスク氏が15日に、米国下院の法務委員会からブラジルの法を遵守するよう迫られたと語った際、「伯国の憲法さえ破っているこれらの決定について、近いうちに明らかにするつもりだ」と語っていた2日後に明らかにされた。
マスク氏は今月12日からX上の自身のアカウントで、ブラジルからのアカウントの削除命令などに従わない意向を示し、モラエス判事を「独裁者」などと呼ぶなど、批判を繰り返していた。モラエス判事はこれを受け、マスク氏を最高裁の「ネット犯罪者捜査」のリストにも加えている。
モラエス判事が処分対象としているのは、極右や超リベラル系のインフルエンサーと目されている人物のアカウントで、大統領選挙期間中に拡散された虚報や、昨年1月8日の三権中枢施設襲撃事件につながる暴力的な発言内容と判断されたものが大半だ。
この前日の16日夜、前大統領三男のエドゥアルド下議(自由党・PL)は、父ボルソナロ氏がマスク氏に対し、ブラジルにおける検閲の状況を知らしめたことに関して感謝している動画を拡散している。
モラエス判事は同件に関する声明などは出していない。