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IMF=ブラジルの財政状況悪化と分析=現政権中は黒字化ナシ予測

2024年4月19日

公的債務に関する質問に答えるFMIのヴィトル・ガスパル公的財政担当理事(Allison Shelley/FMI)
公的債務に関する質問に答えるFMIのヴィトル・ガスパル公的財政担当理事(Allison Shelley/FMI)

 【既報関連】国際通貨基金(IMF)が17日、今年のブラジルの基礎的財政収支は予想を上回る赤字となり、公的債務の総額も昨年を上回るという内容の財政モニター報告書を発表したと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
 IMFは、24年の公的債務総額は国内総生産(GDP)の86・7%となり、23年の84・7%を上回るだけでなく、25年89・3%、26年90・9%と増え続け、29年は93・9%になると見ている。
 このデータは、エネルギー企業のエレトロブラスや石油公社のペトロブラスを除いた非金融公共部門に関するもので、中央銀行のバランスシートに計上されているソブリン債務も含まれている。
 他方、基礎的財政収支の赤字額は昨年10月に発表したGDPの0・2%から0・6%に上方修正された。25年の赤字は0・3%に低下するが、赤字ゼロ化は26年だという。
 この見通しは、連邦政府が15日に発表した25年度の予算基本法案(PLDO)に盛り込んだ、25年が赤字ゼロ、26年は0・25%の黒字という数字より悪い(15日付G1サイト(4)参照)。
 PLDOに記載された基礎的財政収支の目標が昨年承認された財政均衡法に盛り込まれていた、24年が赤字ゼロ、25年は0・5%、26年は1%の黒字という目標より後退したことは、市場の信頼感を揺るがし、為替や株式指数にも多大な影響を与えた。
 IMFの見通しが下方修正されたのはその影響もあるが、基礎的財政収支の結果に関する予測値がPLDOを下回ったことは、カンポス・ネット中銀総裁がPLDO発表後に示した、「市場は政府より厳しい見方をしている」という見解を裏打ちしている。
 ワシントンでⅠMFと世界銀行、G20のイベントに参加中のハダジ財相は、今年と来年のGDP比での公的債務総額が昨年10月に予測された90・3%と92・4%より小さくなったことを肯定的に評価した。
 他方、ネット総裁はXP社が開催したワシントンでのイベントで、25、26年の基礎的財政収支目標の変更が、中銀の働きをより困難かつコストのかかるものにすると語った。
 同氏によると、基礎的財政収支目標の変更自体は経済基本金利(Selic)決定に機械的な影響を与えない。だが、目標変更で公共支出が増せば、今後数年間のインフレ圧力も増すとの見方は市場を大きく揺すぶり、市場がリスク・プレミアム上昇やその後の財政バランスの行方を懸念していることを示したという。
 中銀はインフレの動向に応じてSelicを操作するが、Selic調整の効果は6~18カ月後に出る。同総裁の発言は、為替変動も含めた内外の圧力で金利引き下げ継続が困難になるとの見解も認める形となった。


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