パカエンブー・スタジアム=こけら落としコンサート中止=サンパウロ市と民営化企業で行き違い

こけら落としのコンサートの中止により、サンパウロ市パカエンブー・スタジアムをめぐるサンパウロ市と運営担当の落札企業との理解の行き違いとそれによる緊張が生じていると、22日付フォーリャ紙(1)が報じている。
サンパウロ市中央部に位置し、1930年代から幾多のサッカーの名勝負やコンサート・イベントなどで知られてきたパカエンブーは、2021年6月から民営化のための本格工事を開始。今月19日に予定されていた大御所歌手ロベルト・カルロスの誕生日記念コンサートをこけら落としにする予定だった。
だが、この公演が直前になって中止になった。パカエンブーを運営するアレグラ・パカエンブーは行う予定だったが、消防と市都市局が「安全性」の面で基準を満たしていないとして中止を決めた。
フォーリャ紙によると、市側とアレグラ・パカエンブーとの見解の相違はそれ以前から起きていたという。
同社は2019年に民営化のための工事を施行し、2054年までパカエンブーの運営を行うための契約を締結。だが、その翌年にコロナウイルスのパンデミックが起きて損害が生じたことや、環境許可発行の遅れなどを理由に、契約見直しを市に申し入れていた。だが、市当局はパンデミックは契約を見直すための十分な理由にはならないとして見直しを拒否した。
また、リカルド・ヌーネス市長が2022年9月にスタジアム前のシャルレス・ミレール広場は「アレグラの管轄ではない」との見解を出したことも、同社を戸惑わせていた。それは同社がプールをはじめとした大型スポーツ施設を周辺に造ろうと計画していたためで、これも契約見直しを求めた理由の一つとなっていた。
アレグラは今回の中止決定に関して、「基本事項には従っており、キャンセルの理由はなかった」と語っている。