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アムネスティ=人権侵害が前年比41%増=深刻な警察の暴力行為

2024年4月26日

軍警や特殊作戦実行部隊が乗り込んだリオ市ヴィラ・クルゼイロのファヴェーラ(24日付フォーリャ紙サイトの記事の一部)
軍警や特殊作戦実行部隊が乗り込んだリオ市ヴィラ・クルゼイロのファヴェーラ(24日付フォーリャ紙サイトの記事の一部)

 非政府団体のアムネスティ・インターナショナルが24日に発表した「世界における人権の現状」と題する報告書によると、ブラジルでは、警官による暴力や基本的権利にアクセスすることの難しさ、先住民族の土地の境界設定やキロンボーラ(黒人奴隷の子孫)の領土の所有権設定の遅れなどが問題となっていると同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
 156カ国の人権の現状についてまとめたこの報告書は、ブラジルについて183ページ中の5ページを割いており、23年は人権侵害との告発が前年比で41%増の340万件に達したと報じている。
 ブラジルについての記述は、第3期ルーラ政権への移行早々にクーデター未遂が起き、23年12月までに30人が有罪判決を受けたことで始まる。犯罪結社、民主的な法の支配の暴力的廃止、登録遺産の劣化などで有罪とされた人は3月現在で130人に上る。また、ボルソナロ前大統領が選挙高裁によって8年間出馬停止となったことや控訴さえ却下されたことにも触れている。
 ブラジルに関する部分は経済的、社会的、文化的権利に細分化され、過度の武力行使、不処罰、人権の擁護者、健康的な環境への権利、先住民族の権利、性的及びジェンダーに基づく暴力、性と生殖に関する権利などを扱っている。また、マナウス市やサンパウロ州、アクレ州、マラニョン州、パラー州などの人々に影響を与えた気候変動も取り上げられている。
 だが、それ以上に強調されているのは警官による暴力で、バイア州とリオ州、サンパウロ州では、1~3月だけで394人の死者が出たと記載。
 国際的にも注目されているサンパウロ州海岸部でのエスクード作戦やヴェロン作戦は、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のような国際的な人権団体や国家人権審議会(CNDH)などが当局に説明を求め、調査員を送って、警官による拷問なども起きていたことなどを挙げ、人権侵害を指摘している。
 また、リオ州ではいずれも昨年8月に起きた、バイクの二人乗りで通りがかった13歳少年が射殺された事件や、家の中にいたが流れ弾で死亡した5歳女児、家族と共に車の中にいて被弾して死亡した3歳女児、リオ市ヴィラ・クルゼイロ区での作戦での10人死亡などが取り上げられている。
 報告書では、警官による違法な武力行使が迅速かつ効果的な捜査を受けずに続いていることも問題視し、2014年にバイア州で起きた16歳少年の強制失踪が未解決のままであることや、2018年にバイア州で警察による暴力反対運動を行った活動家殺害で警官3人が起訴されたが、裁判はまだで、母親が脅迫を受けている件などを列挙している。


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